福原美穂(撮影:野原誠治)
 今年4月にデビュー3周年を迎え、5月11日に『The Soul Extreme EP』をリリースする福原美穂。4月29日からは、同作に収録される「STARLIGHT」を主題歌に起用したアニメーション映画『鬼神伝』が全国にてロードショー。これまでにも『沈まぬ太陽』や『悪人』などの映画主題歌を務めてきた彼女に、高田崇史の原作による“鬼”と“人間”が戦う1200年前の平安時代の京都を舞台にした物語から受けた印象と、主題歌に込めたメッセージなどについて話を聞いた。

――福原さんは、今回の『鬼神伝』以前から映画主題歌を担当されてきましたが、ご自身のオリジナル作品と、映画主題歌とで制作時に意識的な違いはありますか?

福原美穂(以降、福原):タイアップのお話を頂くと、ストーリーに寄せたり、主人公の気持ちで書くかとか色々あるんですけど、自分で歌詞を書くという点では、いつも自分が共感できるポイントを見つけて、そこからテーマを広げて書いていくことが多いですね。今回の『鬼神伝』に関しては、すごく自分の内の部分だったり、戦いに行く戦士の気持ちだったり、世の中に対して思っていることにもすごくリンクして書けた曲だったので、自分と映画のストーリーがすごく調和しているんじゃないかなと。普遍的な曲を作りたかったんですけど、成功したんじゃないかなと思っています。

――映画をご覧になって、どんな感想を持ちましたか?

福原:私の祖父と祖母が住む田舎でも昔、鬼がいたという伝説が残っていたり、「そういう世界って本当にあるんじゃないかな?」と思って、実際に居たのか調べたいですね。今回の『鬼神伝』では、主人公の「天童純」は平安時代に戻されて、そこで鬼と人間の戦いの間に立つ戦士なんですけど、主題歌の「STARLIGHT」では、戦いに行く人を見守る人の気持ちというか、現代に残っているお母さんの目線で書き始めたんですよね。それが「君は行くんだね でも君はまだ知らない」というAメロの歌詞とかに、母親の気持ちだったり母性があったり。

――登場人物や、印象に残っている台詞などはありますか?

福原:どの登場人物も面白かったんですけど、1番共感できたのは「頼光」ですね。自分の中ですごく信じてるものがあって、でもそれを外に出さない感じとか、自分と似ている部分がありましたね。台詞では、烏天狗が「合点承知!」って言うのが終わった後もずっと残ってました(笑)。

――物語の舞台となる1200年前の平安時代の京都は、現在も歴史的な建造物が数多く残されていますが、京都についてどんな印象をお持ちですか?

福原:お仕事では1度だけ、FM京都に行ったことがあったんですけど、京都はすごく好きで、個人的に1回行ったりもしてて、美しいなと思いますね。私は北海道出身なので大陸的で、もっと後になって関東から人が入ってきて歴史が作られた場所なので、あまり歴史に残るような色濃い物や文化が無くて。元々アイヌの先住民が残した、作業ができる場所だったり、すごく恵まれた環境なんです。京都は自然の感じというよりは、人間が作っていった歴史の場所だなと思って。結構、北海道と対照的だなと思うんですけど、自分はああいう屋根の造りの建物を見て育ってないので、ドキドキしますし、すごく憧れますね。これをすごく素敵だと感じたり、暮らしてみたいなと感じたり、自分は日本人なんだなって思いますね。

――物語の中で“鬼”とは自然との共存を願う人間として描かれていますが、1200年前と現代社会とを比較して、自然との共存など、それぞれの良い所と悪い所はどのように思いますか?

福原:今のインターネットの時代もすごく便利ですけど、音楽が違法にダウンロードされたり、最初はそれが良いのかな?って。でも、自分もインターネットを活用していますし、どっちのメリットもデメリットもあって。でも、どれも人間が作ってきているものだと思うんです。今回の震災もそうでしたけど、自然には絶対勝てないなと思って。自然と共存するというよりは、自然を受け入れて、その中で生活していくことが大切だと思ったんです。今回の震災の中でもTwitterが役立ったり、人は変わらずに多分、もっとすごいモノを生み出していくだろうし、私がお婆ちゃんになった時、すごいロボットが買い物をして来てくれたりする時代が来るのかな?って想像するんです(笑)。