DFマリオ・ジェペスとDFソクラティス・パパスタソプロスの獲得で始まった昨夏のミランの補強。だがその後、MFケヴィン＝プリンス・ボアテングの獲得でサポーターの不満はやや和らぎ、そしてマーケット終了直前には、FWズラタン・イブラヒモビッチとFWロビーニョというセンセーショナルな補強が続いた。ミランに実質的な改革をもたらしたのは、これらの補強だ。４日のブレッシァ戦で３選手全員がゴールを奪ったのは、偶然ではないだろう。

「オレは勝つためにここへ来た。すべてに勝ってみせる」。ミランが４−０で圧勝したレッチェとの開幕戦。ハーフタイムに急きょお披露目されたイブラヒモビッチは、こう宣言した。だが勝つためには、適切な場所に適切な選手が必要となる。さらに、パーソナリティーにあふれ、勇気を持ち、頑固な指揮官も必要だ。

就任当初、マッシミリアーノ・アッレグリ監督の能力や、“サラリーマン”ぶりを疑った者もいるだろう。だが、彼はそうではなかった。アッレグリ監督は誰の顔色もうかがわないことを示した。それだけではない。チーム集合の日にオーナーのシルヴィオ・ベルルスコーニ氏がリーダーとして指名したFWロナウジーニョを、７試合連続で先発メンバーから外している。

出だしこそ紆余曲折があり、チームバランスを見つけることに苦労したアッレグリ監督だが、彼は１試合ずつ、特にレアル・マドリーとの試合に敗れてから、後に勝利の解決策となる方法を徐々に見出していった。

アッレグリ監督が「試合に出る者は何をすべきか分かっている」と言ったのは、間違いではない。選手たちは自分たちの任務を理解し、完璧にこなしている。クラレンス・セードルフの代役として、初めてトップ下で出場したボアテングもそうだ。アッレグリ監督は「彼を起用したのは、より前線へ飛び出せる選手が必要だったからだ」と明かしている。そしてボアテングはすぐに試合へ入り、ゴールまで奪った。

さらに、１試合に３度のチャンスをミスするロビーニョも、少なくとも１ゴールは重要な得点を挙げており、イブラヒモビッチのために適切な動きをしている。そしてそのイブラヒモビッチが、新たなミランの圧倒的な主役だ。

イブラヒモビッチはリーグ戦で８ゴール６アシスト、チャンピオンズリーグで４ゴールと、自らがした約束を守っている。また、彼の加入はチーム全体に連鎖反応をもたらした。チアゴ・シウバとアレッサンドロ・ネスタの両センターバックは、アンドレア・ピルロの不在時にプレーの基点となり、セードルフはトップ下として新たなシーズンを送っているのだ。

これらすべてが、FWアレシャンドレ・パトとFWフィリッポ・インザーギを負傷で欠いている中で起きている。ロナウジーニョもいない中では、傑作と言えるだろう。ミランは１月のマーケットで、オーナーからのプレゼントを待っている。だがそれは、ミランにふさわしいストライカーでなければいけない。