■ HSV戦

9勝1敗1分けで首位のドルトムントがハンブルガーSVと対戦。ドルトムントは2位のマインツに「4」ポイント差で首位を走っていて、独走体勢に入りつつある。

ホームのドルトムントは<4-2-3-1>。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFベンダー、サヒン、ゲッツェ、香川真司、グロスクロイツ。FWルーカス・バリオス。DFフメルス、DFシュメルツァー、MFゲッツェ、MFグロスクロイツの4人がスウェーデン戦のドイツ代表入り。DFシュメルツァーとMFゲッツェは初代表となった。HSVは元オランダ代表のFWファン・ニステルローイ、オランダ代表のFWエリアが欠場。

■ 香川が先制弾

雨が降り続く中で行われた試合の前半はドルトムントにパスミスが目立って、ほとんどいい形を作れない。スリッピーなピッチに悩まされる。MF香川も前半はトラップやパスのミスが多く、波に乗れないままで前半を終える。

しかし、後半4分にドルトムントが先制に成功する。右サイドに流れたMFベンダーがDFピズチェクにスルーパスを送る。DFピズチェクはうまいコントロールでゴールに向かうと、中央にグラウンダーのクロス。これを少し遅れたタイミングでゴール前に入ってきたMF香川が右足で合わせる。MF香川はリーグ戦は6ゴール目。

さらに後半25分にもFWバリオスのポストからMF香川がフリーでボールを持つと、右サイドを走ったMFゲッツェに完璧なスルーパス。MFゲッツェはシュートも打てたがファーサイドに浮球でパスを送る。走り込んでいたMFグロスクロイツはシュートに持っていけなかったが、とっさの判断でゴール前にパスを流すと、FWバリオスがごっつぁんゴール。ドルトムントが2点目を挙げる。FWバリオスは7ゴール目。

結局、MF香川とFWバリオスのゴールを守ってドルトムントが勝利。1分けを挟んで10連勝。快進撃は止まりそうもない。

■ 今シーズン6ゴール目

前半はあまりいいプレーが出来なかったMF香川であるが、後半最初のチャンスをしっかりと決めて今シーズン6ゴール目を挙げた。サイドを完全に崩したDFピズチェクのお膳立てがあって、あとは合わせるだけの状況だったが、確実に右足でミートした。相手DFの足に当たってコースが少し変わるというラッキーな面もあったが、決定機に確実に決められたのは試合の流れをつかむ上でも大きかった。

2点目もMF香川が起点。少しためて時間を作ってスルーパスを送って、MFゲッツェのスピードを殺さない最高のパスを送った。正確なボールコントロールで前を向いて相手DFの注意をひきつけてからパスを出すという非常に親切なプレーだった。

後半25分にFWバリオスがゴールを決めたため、チームトップはFWバリオスに抜かれてしまったが、リーグ戦は6ゴール。12試合で6ゴールであるが、2試合に1点のペースでゴールを重ねている。

■ ボールが集まる

11節のハノーファー戦でゴールを決めるまで、しばらくゴールから遠ざかっていたが、これで2試合連続ゴール。左サイドのMFグロスクロイツの調子に波があって、MFグロスクロイツのところから攻撃が出来ていないのが気掛かりではあるが、初めてドイツ代表に招集されたMFゲッツェがスタメンになって攻撃のバリエーションが増えて、MF香川にいいチャンスが巡ってくるようになった。

ポーランド代表のMFブラスチコフスキの方が、MFゲッツェよりも経験とスピードと運動量で優るが、典型的なサイドアタッカーなので、右サイドにはってしまうケースが多い。サイド攻撃は重要なので、それも悪くはないが、MF香川は高さがないので、サイドからのクロスに合わせてゴールというのはあまり多くない。よって、MFブラスチコフスキが右サイドに入ったときは、得点の可能性がが少なくなってしまうが、MFゲッツェがいると自由にポジションチェンジも出来るし、ゴール付近でいいパスが来る確率も高まる。

また、ボランチでトルコ代表のMFサヒンとのコンビがここに来て確立されてきており、以前であれば、MF香川が動いても、Mfサヒンから足元にパスが来ることはほとんどなかったが、ここ数試合はいい動きさえすれば、MFサヒンからもパスから回ってくる。ここまでは2試合で1点のペースであるが、警戒されてペースが落ちる可能性よりも、チームメイトとの息が合ってきて、ゴールのペースが上がっていく確率の方が高いように思われる。

■ ドルトムントから4人のドイツ代表

レアル・マドリーのMFエジル、バイエルンのMFミュラーがお休みのため、今度のスウェーデン戦に向けて、ドルトムントからはDFフメルス、DFシュメルツァー、MFゲッツェ、MFグロスクロイツの4人が選ばれた。ドイツ人は他にはGKヴァイデンフェラーとMFベンダーくらいであるが、首位効果もあって大量選出となった。

昔々に、ブラジルでウイングをしていたFWカズは、「もし、カズがブラジル人だったとしても、1回や2回くらいはブラジル代表に選ばれていたのでは?」と言われたそうであるが、その時は、カズの評価の高さを『凄いな』と思うと同時に、ブラジルの選手層の厚さに驚いたものであるが、同じように、もし、MF香川がドイツ人だったと仮定すると、今回、確実にドイツ代表に選ばれていただろう。

■ 韓国人のソン・フンミン

HSVは元日本代表のFW高原が長く在籍したチームであり、チェコ代表のMFヤロリムのような馴染みのある選手もいて、無視できないチームであるが、この日はFWファン・ニステルローイとFWエリアが不在。ブルキナファソ代表のFWピトロイパのドリブルは厄介であり、危ないシーンも作られたが、他にはDFゼ・ロベルトのサイド攻撃くらいしか攻め手がなかった。

1点ビハインドの後半20分には韓国人で18歳のFWソン・フンミンを投入。FWソン・フンミンは2度・3度と左サイドから仕掛けてチャンスを作り、ポテンシャルの高さを感じさせたが、ビッグチャンスにはつなげられずに、徐々に埋没していった。ドルトムントのDFに限らず、ブンデスリーガのディフェンダーはドリブルに弱いような傾向があるので、FWソン・フンミンも活躍できる余地はあるのではないだろうか?10節の1FCケルン戦ではスタメン出場してゴールも決めているが、18歳でブンデスリーガでプレーしているというだけでもアジア人としては快挙であるが、この先、どんな成長を見せるだろうか?


ボルシア・ドルトムント

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