負けたくない気持ちのぶつかり合いだった南アフリカ・ワールドカップの対戦に比べれば、どちらのチームも攻撃的な姿勢を感じさせた。香川真司の決勝ゴールは文句なしに見事な一撃で、中村憲剛のアシストもまた鮮やかだった。「日本1−0パラグアイ」というスコアは試合内容を必ずしも正確に映し出していないが、日本の勝利はひとまず妥当だろう。

どちらのチームにもエクスキューズはある。アウェイのパラグアイのほうが準備期間は長かったが、日本特有の蒸し暑さは彼らにとって障害となったはずだ。同時に、ヨーロッパでプレーする日本人選手にとっても、肌にまとわりつくような湿気はやっかいだったはずである。

互いに交代ワクいっぱいの6人を入れ替えたゲームは、それだけで真剣勝負と装いが変わってしまう。勝利は妥当だとしても、あのプレトリアのゲームから2か月でパラグアイを上回る力を身に付けたわけではない。

試合後のミックスゾーンに現れたパラグアイの選手たちに、歯痒さや苦々しさはなかった。笑顔さえこぼれていた。ワールドカップで負けた国の選手たちが見せていた、他者を寄せつけない雰囲気とは対照的である。ピッチ上ではしっかりとファイトしていたが、母国から遠く離れたこの日のゲームは、彼らにとって絶対に負けられない一戦ではなかったのだろう。

スタンドで試合を見つめていた日本代表のザッケローニ新監督は、「パラグアイは百戦錬磨のチーム。試合運びがうまい。非常に難しい試合だった」と話していた。同感である。南アW杯のリベンジを果たしたとはいえ、はっきりとした力の差は依然として横たわっていた。試合の流れを読み、リズムを変えるという意味では、パラグアイは成熟したチームだった。