南アフリカ・プレトリアに到着してから４日。アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ監督が、ようやくトレーニングをメディアに公開した。だが、同監督はチームを“孤立”させている理由を説明するとともに、この日のようにメディアに公開することは、南アフリカでの大会が終わるまでそうあることではないと警告している。

マラドーナ監督は落ち着いた様子で、数日前に孫のベンジャミン君と一緒に練習場のピッチで撮った写真を見せるなど、感傷的なところも見せた上で、自信あふれる言葉を残した。

「この瞬間を選手たちと共有できてうれしい。彼らは落ち着いて練習していると思うよ。集中しているし、健康な状態だ。正しい確信を示してくれている」

「団結心を固めることが重要だ。全員がそのメッセージを理解し、共有していることを示してくれている。ファンタスティックなワールドカップ（Ｗ杯）を送れると確信しているよ。コンディションはそろっている」

「選手たちがトップコンディションで（初戦の）12日を迎えられるように、私は体も魂も注いでいる。全員が同じ方向に向かっているよ。グループはまとまっているし、自分たちの可能性に自信を持っている」

そのチームスピリットを維持し、より強固なものとするために必要なのが、チームを外界と遮断することだ。MFハビエル・マスチェラーノは「チームを取り巻く大きな期待には息が詰まっていた。しっかりと集中するため、僕らはディエゴと一緒に、遮断することを決めたんだ。Ｗ杯にあるヒステリーから逃れるために、時間と場所を使っているんだよ。おかしなことなんて何もない。ただ、万全の準備をするために必要というだけだ」と説明している。

こうして、アルゼンチン代表は最も隠れた状態で大会に向けて準備することとなった。彼らは大会までのこの２週間で唯一、親善試合を行わないのである。フィジカルトレーナーのシニョリーニ氏は、「選手たちが何よりも健康な状態で大会を迎えることを望んでいる。彼らはすでに１年間で50、60もの試合を戦ってきた。試合勘を欠くことは確実にないよ」と説明。さらにマラドーナ監督は、「チームを固めるのは数日前になってからだ」と、メンバーについてもまったく明かさなかった。

なお、アルゼンチンは代表チームを南アフリカへ運んだ飛行機の中に、ウルトラスのボス30名ほどが同乗していたことが騒動となっている。以前、アルゼンチンのメディアが、AFA（アルゼンチンサッカー連盟）らがチームをサポートするためにサポーターたちをまとめ、渡航費用を負担したのではないかと報じたからだ。

だが、AFAのグロンドーナ会長に続き、マラドーナ監督も「私は誰とも合意なんかしていない。彼らが我々の飛行機に乗っていたとすれば、ただの偶然の結果だ。私は彼らとまったく関係ない」と強調している。