普天間飛行場の移設問題が最悪の形で決着しようとしている。鳩山首相自らの設定した期限が5月末。おそらく来年か再来年の5月でない限り、公約実現は不可能であろう。

「できれば国外、最低でも県外」

 こう語って総選挙に勝利した鳩山首相だが、沖縄県民との公約は事実上破棄された。

 最後に残されていたグアム・テニアン・サイパンなどへの国外移設の可能性も、きょう(5月12日)、首相官邸自らがその芽を摘んでしまった。

 ここではっきりさせておこう。沖縄県民はもはやこの鳩山首相の公約に期待することを止めた方がいい。

 5月4日の沖縄視察の際、鳩山首相は普天間の国外・県外への移設を放棄するかのように「抑止力論」を持ち出し、在沖縄の米海兵隊の存在は米軍全体のパッケージとして考えるべきだと、その姿勢を変節させたのだ。

 果たして、本当に国外・県外への移設は無理なのだろうか。仮に5月末は無理だとしても、それが半永久的に海兵隊基地を沖縄に置き続ける理由にはならない。

 鳩山首相は、今回の変節を自らの勉強不足だったと結論づけている。鳩山首相の勉強とはいったいどんなものだったのだろうか。そもそも、政権発足からのこの8ヵ月間、鳩山官邸は何を学んできたのか。

 移設先について、「40箇所以上、検討箇所があった」と鳩山首相は語ったが、仮にそうであるらば、なぜ国外・県外移設を公約として掲げたのか。まさか下手な鉄砲数撃てば当たるといった心境でいたのではあるまい。

 だが、結果として鳩山首相は、普天間問題を持ち出し、その着地を長引かせ、沖縄県民に期待を持たせるようなことを言い続けた。

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