求人市場の浮き沈み

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人材紹介会社ロバート・ウォルターズ・ジャパンは日本の雇用状況と職種ごとの給与動向を調査した「給与調査2010」を発表した。

調査によれば
1)2009年上半期、金融サービス業界ではほとんどの職種で欠員募集は無く、過度な人員削減が見られた。そのため、2010年は安定した雇用の成長が見込まれる。
2)商工業分野は需要の減少と円高による売り上げの減少のため、雇用機会が減少した。一方で医療・医薬、バイオ業界とオンラインビジネスでは回復の兆しが見られた。
3)契約・派遣雇用市場では2009年初旬から企業が正規雇用を抑制したため、回復の兆しがある。
といった見方ができるという。

派遣雇用市場は回復の兆しがあるのだが、派遣求人アイルの意識調査によれば派遣社員の約7割が「契約更新が難しくなってきた」と実感しており、労働者の派遣離れが起こることも考えられる。

加えて厚生労働省では違法派遣への指導監督を強化すべく2010年3月より実態調査に乗り出す方針だ。派遣労働者、派遣業者ともに厳しい1年になるのではないだろうか。

だが、正社員もまた安泰とは言いがたい。今年に入ってバンダイナムコホールディングスが630名の人員を、五洋建設が220名規模の人員削減を打ち出し、ヤマハ発動機も希望退職者800人を募集するなど、有名企業が相次いで大規模なリストラ策を発表している。

それでも、ロバート・ウォルターズの調査からも分かるように、過度の人員削減はその反動によって雇用情勢を回復させる可能性が高い。実際に2009年7月から求人広告の出稿数は大きく増加(全国求人情報協会集計)している。リーマンショックによる大規模なリストラの次には、雇用の拡大が起こると考えることができるのだ。転職を希望するのであれば、来たる転職市場の回復に向けて準備をすることは、決して損にならないであろう。

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