15日にいよいよチャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグがはじまる。昨季フランス2位のマルセイユは、CLの常連ACミランと初戦からぶつかる。ここ何年もCLで結果を出していないマルセイユにとって、ACミランは明らかに格上の相手だが、過去にはCL決勝でそのミランを粉砕したこともある。

 マルセイユが1993年にフランスのクラブとして初の欧州チャンピオンに輝いたとき、キャプテンを務めていたのが今季から古巣の指揮をとるディディエ・デシャン監督そのひとだ。

 大一番の前日、レキップ紙のインタビューに応じたデシャン監督は、当時といまの状況の違いを問われ、「わからない。現実的にはフランスのクラブと外国のクラブの間で、経済的な格差が開いてしまったことがある。あとはピッチ上でのこと。とにかく我々は国内リーグとCLの両方を戦えるよう最大限の補強をした」とCLを十分視野に入れたうえでシーズンに臨んだことを明かす。

 ただし予想外だったのは、ACミラン、レアル・マドリーという強豪と同じ組(グループC)に入ってしまったことだ。「スタートラインに立った時点で、勝ち進むことをプログラムされたチームがつねに5つか6つはある。我々はそうじゃない。行けるところまで行く意欲はもっているが、どうなるかはやってみないとわからない。少なくとも、最悪のグループに入ってしまったのはたしかだ」と厳しい戦いを覚悟している。

 しかし今回、デシャン監督が選手(マルセイユ、ユベントスなど)あるいは指揮官(モナコ時代の2004年に決勝進出を果たした)としてCLで得た経験は、チームにとってことのほか大きい。「モチベーションや決意なら、自分が何も言わなくても選手たちがもっている。自分は選手や戦術の選択をするだけだ。過去は過去。こだわりは何もない。歴史は繰り返すものじゃなく、新たなページに書き込むもの。それは選手たちがする仕事だ」と語り、自分の過去の栄光は忘れ、主役である選手たちの背中を一歩下がって見守る決意を感じさせた。