街が巨大メディアに!デジタルサイネージは広告だけじゃない【デジタルネイティブと企業】
デジタルサイネージというと、とかく広告利用に話題が集まりがちである。もちろんビジネスとしての広告は非常に重要であるが、広告だけのメディアではCMばかり放送するテレビ局みたいなもので、社会に広くは受け入れられないだろう。そこで広告から離れた3つの視点からデジタルサイネージを考えてみた。
■リアルに入り込むオンラインメディア
この春、ソウルに注目すべきデジタルサイネージが出現した。ソウルの「メディアポール」である。ソウル市とカンナム区が設置したもので、カンナム駅の交差点の通り沿いに、高さ13メートルほどの柱が30メートル間隔で22本設置されている。
車道側、歩道側の両方の上部には超縦長のLEDディスプレイがあり、ビデオアートのような映像が映し出される。歩道側の下部には46インチくらいのタッチパネルディスプレイが設置され、インタラクティブな操作が可能だ。
昼間は夜間に比べると視認性がよくないので操作している人もまばらであったのだが、夜にもう一度行ってみると、順番待ちこそできないものの(22本もあるので)常に誰かが操作していたのには本当に驚いた。
一番使われていたのが写真を撮ってメールで送れるというもの。プリクラの要領でディスプレイ上部にあるカメラで撮影し、テンプレートを選んで写真を貼り付ける。さらに手書きで文字や絵を描き込んで、ソフトキーボードでメールアドレスを打ち込んで送信することができる。友達同士やカップルがワイワイ言いながらメールをしているのだ。
ほかには新聞の紙面が丸ごと読めたり、地図連動の店舗案内といった実用的なものから、3Dアバターやごくシンプルなゲームなどが用意されている。そして行政情報もしっかりあった。
ここで気がついたのは、これはiPhoneに似ているということだ。iPhoneの画面を巨大化して街角に持ち出し、実用的な情報と併せて、実用的とはいえないコンテンツも用意する。こうしてインターネットのコンテンツをモバイル化させているのがiPhoneだとすれば、街角化しているのがメディアポールなのだ。リアルな社会に入り込むインターネットメディアともいえるだろう。
■アンビエントメディア
コムキャストセンター、韓国のデパートなど
・1000万画素の圧倒的迫力!コムキャストセンターの超HDな動画ディスプレイ(動画あり) - GIZMODO JAPAN
実用性ではなく空間演出的なデジタルサイネージもある。都市空間をデザインするという視点から見れば、建築物による景観形成だけではなく、ディスプレイを利用することも今後行われて行くであろう。ニューヨークのタイムズスクエアがネオンからデジタルサイネージに続々と入れ替わっているが、ああいった無秩序な美しさもあれば、街全体で統一感のあるサイネージデザインというのも出てくるに違いない。花火やクリスマスイルミネーションに多くの人が引きつけられるように、地域ごとの特色を出すことで観光資源にもなり得るはずだ。
■パーソナルサイネージ
デジタルフォトフレームが売れている。確かにプリントすることなく写真を見られるのは便利であるが、必ずじきに飽きることになる。それは自分の写真しか見られないからだ。そこには意外性も発展性もないのである。
しかし、デジタルフォトフレームがインターネットにつながると状況は一変する。他人のFlickrやPicasaの写真には発見もある。そして映し出せるのは写真だけではない。テレビのようなプッシュ型のメディアと、WEBのプル型のメディアの中間的な存在になるだろう。
具体的には時計やカレンダー、ヘッドラインニュースや天気。twitterのようなつぶやきも有効なコンテンツだろう。ハードウエアの価格も劇的に低下していくだろうから、8インチ程度のワイヤレス対応のフォトフレームは数千円以下になるに違いない。そうなれば営業マンが年末の挨拶でカレンダーの代わりに配ったりするかもしれない。
あるいはユニクロなんかがこれまでのコンテンツを載っけた「ユニクロボード」なんてものを無料で配布するかもしれない。
デジタルサイネージをいきなり新しいメディアとして位置づけるのではなく、こうしたこれまであった機能をデジタルやインターネットで置き換えていく話である。喫茶店という激戦事業領域にドトールやスターバックスが市場を開拓できたように、全く新規のニーズを開拓するよりはあえてど真ん中に切り込んでいくのも成功の秘訣ではないかと思う。
江口 靖二
デジタルサイネージコンソーシアム常務理事
■デジタルサイネージコンソーシアム(Digital Signage Consortium)
■彩ネットアド
■【デジタルネイティブと企業】をもっと読む
・デジタルサイネージは電子広告だけじゃない!次世代の環境型メディアだ
・感情と行動をシゲキするシアター!人を動かすデジタルサイネージ
■リアルに入り込むオンラインメディア
この春、ソウルに注目すべきデジタルサイネージが出現した。ソウルの「メディアポール」である。ソウル市とカンナム区が設置したもので、カンナム駅の交差点の通り沿いに、高さ13メートルほどの柱が30メートル間隔で22本設置されている。
車道側、歩道側の両方の上部には超縦長のLEDディスプレイがあり、ビデオアートのような映像が映し出される。歩道側の下部には46インチくらいのタッチパネルディスプレイが設置され、インタラクティブな操作が可能だ。
ソウルのメディアポール | メディアポールを見る人々 |
一番使われていたのが写真を撮ってメールで送れるというもの。プリクラの要領でディスプレイ上部にあるカメラで撮影し、テンプレートを選んで写真を貼り付ける。さらに手書きで文字や絵を描き込んで、ソフトキーボードでメールアドレスを打ち込んで送信することができる。友達同士やカップルがワイワイ言いながらメールをしているのだ。
夜のメディアポール | メディアポールを楽しむ人々 |
ほかには新聞の紙面が丸ごと読めたり、地図連動の店舗案内といった実用的なものから、3Dアバターやごくシンプルなゲームなどが用意されている。そして行政情報もしっかりあった。
ここで気がついたのは、これはiPhoneに似ているということだ。iPhoneの画面を巨大化して街角に持ち出し、実用的な情報と併せて、実用的とはいえないコンテンツも用意する。こうしてインターネットのコンテンツをモバイル化させているのがiPhoneだとすれば、街角化しているのがメディアポールなのだ。リアルな社会に入り込むインターネットメディアともいえるだろう。
■アンビエントメディア
コムキャストセンター、韓国のデパートなど
ギャラリア百貨店(ソウル) - YouTube |
・1000万画素の圧倒的迫力!コムキャストセンターの超HDな動画ディスプレイ(動画あり) - GIZMODO JAPAN
実用性ではなく空間演出的なデジタルサイネージもある。都市空間をデザインするという視点から見れば、建築物による景観形成だけではなく、ディスプレイを利用することも今後行われて行くであろう。ニューヨークのタイムズスクエアがネオンからデジタルサイネージに続々と入れ替わっているが、ああいった無秩序な美しさもあれば、街全体で統一感のあるサイネージデザインというのも出てくるに違いない。花火やクリスマスイルミネーションに多くの人が引きつけられるように、地域ごとの特色を出すことで観光資源にもなり得るはずだ。
■パーソナルサイネージ
デジタルフォトフレームが売れている。確かにプリントすることなく写真を見られるのは便利であるが、必ずじきに飽きることになる。それは自分の写真しか見られないからだ。そこには意外性も発展性もないのである。
しかし、デジタルフォトフレームがインターネットにつながると状況は一変する。他人のFlickrやPicasaの写真には発見もある。そして映し出せるのは写真だけではない。テレビのようなプッシュ型のメディアと、WEBのプル型のメディアの中間的な存在になるだろう。
具体的には時計やカレンダー、ヘッドラインニュースや天気。twitterのようなつぶやきも有効なコンテンツだろう。ハードウエアの価格も劇的に低下していくだろうから、8インチ程度のワイヤレス対応のフォトフレームは数千円以下になるに違いない。そうなれば営業マンが年末の挨拶でカレンダーの代わりに配ったりするかもしれない。
あるいはユニクロなんかがこれまでのコンテンツを載っけた「ユニクロボード」なんてものを無料で配布するかもしれない。
デジタルサイネージをいきなり新しいメディアとして位置づけるのではなく、こうしたこれまであった機能をデジタルやインターネットで置き換えていく話である。喫茶店という激戦事業領域にドトールやスターバックスが市場を開拓できたように、全く新規のニーズを開拓するよりはあえてど真ん中に切り込んでいくのも成功の秘訣ではないかと思う。
江口 靖二
デジタルサイネージコンソーシアム常務理事
■デジタルサイネージコンソーシアム(Digital Signage Consortium)
■彩ネットアド
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