秋山成勲のUFCデビュー戦の相手となるアラン・ベルチャーは、06年8月に行われた岡見勇信のUFC初戦の相手でもある。思わぬ星を落とすこともあるが、大物食いの一面もあり、これまでは実力を測り辛い試合が多かった秋山にとって、リトマス試験紙となるファイターだ

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いよいよ今週末、11日(土・現地時間)に迫ったUFC100。ラスベガスのマンダレイベイ・イベントセンターで行われる同大会は、UFC JAPANやUFCファイトナイト、TUF FINALEを含めると通算133度目の大会となるが、カウントされるシリーズでは100度目の記念すべきイベントとなり、文字通り歴史に残るスーパーショーとなることが予想される。

メインは世界ヘビー級王者対決ブロック・レスナー×フランク・ミアに、今最も充実しているMMAファイターといっても過言でない世界ウェルター級王者GSPは、最強のチャレンジャー=チアゴ・ピッチブル・アウベスの挑戦を受ける。

さらにはTUFシーズン9のコーチ対決、次期世界ミドル級チャレンジャー決定戦と考えられるマイケル・ビスピン×ダン・ヘンダーソン戦など、通常のPPVイベントでメインイベントとして行われてもおかしくないマッチアップだ。

トリプルメインといっても過言ではないカードが並ぶPPVカードだが、そのオープニングを飾るのは、UFC殿堂入りしている元世界ヘビー級王者マーク・コールマンとTUFシーズン1でUFCの一般への浸透を絶対的なものとしたステファン・ボナーの一戦をプレリミナリーに追い落とし、PPVラインナップでUFCデビューを飾るのが秋山成勲だ。

04年12月31日のDynamite!!でIBFとWBFの世界ヘビー級王者にもなっているフランソワ・ボタを下しMMAデビューを果たした元柔道世界選手権日本代表の秋山――、在日韓国人四世で韓国名チュ・ソンフンの名も持つ彼は、実に10カ月ぶりのMMA戦となる。

06年大晦日に行われた桜庭和志戦でのヌルヌル疑惑以来、日本の格闘技シーンでは常に嫌われ者となり、対照的に母国・韓国ではCMに抜擢するなど大人気を誇る。

今回のUFCデビューに関しても、その韓国メディアの意向+ビジネス面が取りざたされてはいるが、アラン・ベルチャーという対戦相手は決してイージーではない。UFC戦績は5勝3敗ながら、一番最近の試合ではデニス・カーンに一本勝ちを収めており、さらには現・戦極ミドル級王者ジョルジ・サンチアゴをハイキックでKOしている。

「アキヤマはこの階級を代表するビッグネーム。柔道がベースの危険なグラップラーだが、打撃も柔術の技術も使いこなす」というベルチャーだが、実際のところ彼自身もエリオ・ソネッカの茶帯で秋山以上に柔軟な戦いができる。

10カ月ぶりのファイト、さらには07年大晦日の三崎和雄戦よりワンサイドゲームしか経験していないことで、いきなりマンダレイベイという大会場でオクタゴンデビュー戦を迎える秋山は、仕切り直し、いや本当の意味でMMAファイターとしてスタート地点に立つといえるのではないだろうか。

宇野薫をセコンドに加えた秋山が、どのようなポテンシャルを技・気持ちの面で持っているのか。ベルチャーは格好のリトマス試験紙となる。

UFC100全対戦カードは下記の通り

UFC世界ヘビー級王座統一戦/5分5R>
[王者]ブロック・レスナー(米国)
[暫定王者]フランク・ミア(米国)

UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョルジュ・サンピエール(カナダ)
[挑戦者]チアゴ・アウベス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ジョン・フィッチ(米国)
パウロ・チアゴ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ダン・ヘンダーソン(米国)
マイケル・ビスピン(英国)

<ミドル級/5分3R>
秋山成勲(日本)
アラン・ベルチャー(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
マーク・コールマン(米国)
ステファン・ボナー(米国)

<ライト級/5分3R>
マック・ダンジグ(米国)
ジム・ミラー(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジョン・ジョーンズ(米国)
ジェイク・オブライエン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
キム・ドンヒョン(韓国)
TJ・グラント(カナダ)

<ミドル級/5分3R>
CB・ダラウェー(米国)
トム・ローラー(米国)

<ライト級/5分3R>
マット・グレイス(米国)
シャノン・グジェルティ(米国)