Jリーグ選手の胸スポンサーロゴに、どれだけの広告価値があるのか
J2のFC岐阜が倒産の危機に瀕している。
さる6月24日、同クラブの今西和男ゼネラルマネージャー(GM)が会見を開き、クラブの窮状を明かしたのだ。
要約すると「入場料やスポンサー収入が伸び悩み、このままではシーズン終了時には運転資金が底をつく。そうなったら倒産も覚悟しなければならない。我々も経営改善の努力はしているが、この不況下では新たなスポンサーを獲得するのは難しい。残る手立ては地元のみなさんにスタジアムに来ていただくしかない。7月から集客キャンペーンを行うので、ぜひ観戦に来てください」ということだ。つまり、「クラブをつぶさないためには岐阜県民の協力が必要」と、なりふり構わず訴えたわけである。
企業を母体に持たない市民クラブのため、J2参入当初から財政基盤の弱さが不安視されていたが、2年目の今年、早くも行き詰ってしまったのである。
FC岐阜の経営難は、外から見ていてもうかがえた。
Jリーグの各チームのユニフォームには企業や商品のロゴがプリントされている。いうまでもなく、クラブに資金を提供するスポンサー名やその商品名で、プリントされる場所は胸、背中、袖、パンツの裾。中でも一番目立つ胸にプリントされているのが、最も多額の料金をクラブに支払っているメインスポンサーだ。
母体企業を持つクラブは、その企業がメインスポンサーであるケースが多い。ガンバ大阪のパナソニック、横浜Fマリノスの日産、名古屋のトヨタ、川崎フロンターレの富士通、磐田のヤマハ、柏の日立などがそれである。クラブの強さや人気から広告価値を見い出し、メインスポンサーになるケースもある。浦和のザバス(明治製菓のスポーツサプリメント)、鹿島のトステム(住宅用建材メーカー)がその代表例だ。
今年の開幕前、この胸のスポンサーロゴの部分が空欄のクラブが5つあった。J1では大分と山形、J2では東京ヴェルディ、福岡、そしてFC岐阜である。
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