清掃職員が年収1100万円の「高給」 「給与体系に問題あり」と奈良市見直しへ
奈良市環境清美部の清掃職員(60)の最高年収が約1100万円に上ることが明らかになった。市では給与システムに問題があったことを認め「給与体系を見直さなければいけない」としている。同市環境清美部をめぐっては、ほとんど出勤していないのに給与が満額支払われるケースや、暴力や飲酒運転も表面化。「環境清美部の体質」の問題さえ指摘されている。今回の「高給」にも何らかの背景がありそうだ。
祝祭日でも出勤していた?
奈良市環境清美部の清掃職員の最高年収額(2007年度)が約1100万円に上ることが、2008年9月17日の奈良市議会の決算特別委員会で明らかになった。市人事課によれば、この清掃職員の年収の内訳は、500万円の給料に加え、残業手当が234万円、特殊勤務手当て68万円、賞与223万円、通勤手当などもろもろの諸手当となっている。08年3月には、清掃職員に支払われた出勤奨励手当、皆勤精励手当などの特別勤務手当などについて違法判決が下されたが(現在係争中)、市は06年度にこれらの手当を既に廃止しており、今回の年収額には含まれていない。ではなぜここまでの「高給」が支給されていたのか。
市人事課はJ-CASTニュースに対し、
「この職員は工場勤務をしており、夜勤勤務や祝祭日でも出勤していた。給与体系という意味では、年功序列の加算体系に加え、管理職ではないため、時間外勤務手当て、365日祝祭日も働いていたものだから割り増しになった。そういうことで、こういった形の給与支給になった。夜勤勤務については民間に委託するというかたちをいまでは検討している」
と説明する。この職員に支給されていた基本給などは市職員の給与としては平均的だったが、時間外勤務などの手当てが付いてしまったことでこうした「高給」になったということらしい。ただ、単純労働職場で一人だけ残業時間が飛びぬけて多いのはなぜか、理解に苦しむところだ。他にも1000万円近い給与を受け取っている職員もいる模様だが、この最高年収の職員は08年3月に退職している。
08年も上司への暴力や飲酒運転で同部職員2人が懲戒処分
奈良市環境清美部をめぐっては06年10月に、病気を理由に休み続け、5年9カ月の間に出勤8日で給与を満額受け取っていた男性職員のほか、男性職員4人についても休暇と休職を繰り返しながら給与を満額受け取っていたことが発覚。不適切な勤務が最初に発覚した男性職員は部落解放同盟奈良市支部協議会の副議長を務め、市側と何度も交渉していた。また、08年に入っても上司への暴力や飲酒運転で同部の職員2人が懲戒処分されている。
市は同部で不祥事が相次いでいることについて「関西地区に共通することだが、環境清美部の職場がお騒がせしている部分は確かにある。清掃職場での就業には特殊な職場環境がある」と述べ、「環境清美部の体質」の問題点を認めている。今回の「高給」職員についても、市民からの批判が相次いでいるという。
この「高給」職員には「給与システム以外の背景はない」と同人事課は説明するが、市は業務改善企画会議などを設置し、給与体系の見直しや業務を一部民間に委託する方向で検討を進めていくとしている。
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