「純農」のロゴマーク(JA全農提供)

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 JA全農と通販大手のフェリシモは16日、国産の農畜産物や加工品を販売する新たなブランドとして、「純農(じゅんのう)」プロジェクトを共同で始めると発表した。ウェブサイトやカタログを通じ、両者で開発・選定した商品を売るだけでなく、生産者や産地の思いを発信する。国産農畜産物の販路拡大とともに、日本農業への理解や応援につなげる。

 全農が大手通販と共同ブランドを立ち上げるのは初めて。フェリシモは売上高293億円、カタログやインターネットによる通販業界の大手だが衣料品や雑貨が主力で、高品質な食品にも力を入れたい考えがあった。全農は自前で通販サイト「JAタウン」を運営するが、女性を中心に多くの会員を持つ同社との連携で新たな販路が見込めるため、両者の思惑が一致した。

 両者は「純農」プロジェクトのウェブサイトを22日に開設する。国産農畜産物を主原料とし、共同で開発・選定した商品だけを販売する。当初の開発商品は熊本県産の大麦や玄米を使ったグラノーラ、愛媛県産かんきつのドライフルーツ、山梨県産ブドウのワインの3品目、選定商品はJAグループの加工品から選んだ8品目。今後100品目を目標に増やし、加工品に加え、冷蔵・冷凍の農畜産物も順次取り扱う方針だ。カタログでも5月号から掲載を始める。

 プロジェクトは「食べることと知ることで、日本の農業をまるごと味わう」を基本理念とし、サイトやカタログでの情報発信にも力を入れる。生産者のこだわりやメッセージ、産地の紹介、原材料がどのように作られているかなども丁寧に取材して掲載。商品のストーリー性を高めるとともに、「消費者に日本の農業の実態や大切さを理解してもらう」(全農フードマーケット事業部)きっかけとする。

 フェリシモの矢崎和彦社長は「生産者には、一つの商品で一冊の本が書けるくらいの思いがある。店頭よりも多くの人に物語を伝えやすい通販の特性を生かし、思いを伝えていきたい」と語る。