サムスンが2019年2月20日に発表したフラッグシップモデルのスマートフォン「Galaxy S10」に搭載される「超音波指紋スキャナー」が、3Dプリントで偽造した指紋であっさりと解除されてしまったムービーがオンライン掲示板Redditで公開され、記事作成時点で247件のコメントと1万7000ポイント以上のアップ投票(upvote)を得るなど反響を呼んでいます。

I attempted to fool the new Samsung Galaxy S10's ultrasonic fingerprint scanner by using 3d printing. I succeeded. : 3Dprinting

https://www.reddit.com/r/3Dprinting/comments/b98v0e/i_attempted_to_fool_the_new_samsung_galaxy_s10s/

I attempted to fool the new Samsung Galaxy S10's ultrasonic fingerprint scanner by using 3d printing. I succeeded. - Album on Imgur

https://imgur.com/gallery/8aGqsSu

実際に「超音波指紋スキャナー」が突破されている様子が収められているのが以下のムービーです。投稿者が偽造指紋を作成するのに要した時間は約13分とのことですが、投稿された20秒足らずのムービーでは、透明な板にプリントされた指紋であっさりと認証が解除されている様子が確認できます。

I attempted to fool the new Samsung Galaxy S10's ultrasonic fingerprint scanner by using 3d printing. I succeeded.


ムービーは、Galaxy S10と思われるスマートフォンの上に透明な板が置かれているところから始まります。投稿したのは「darkshark9」というユーザーです。



画面外から伸びたゴム手袋をはめた投稿者の手がスマートフォンの電源ボタンを押すと画面が点灯。透明な板を画面下部の超音波指紋スキャナーに重ねると……



認証が解除されました。投稿者がゴム手袋をしているのは、投稿者の指で認証を解除しているのではないと示すため。超音波指紋スキャナーはディスプレイが静電容量方式によって人間の指を感知しなければ起動しないので、本来であれば人間の指や手でなければスキャンされないはずですが、投稿者によるとゴム手袋は非常に薄いため、透明な板の上からゴム手袋越しに指を押しつけるだけで認証が突破できたとのこと。ムービーの後半では、実際にゴム手袋が画面に触れた際にそれが検知され、誤操作が起きています。



同じ投稿者が画像共有サイトImgurに書き込んだ一連の投稿では、指紋を3Dプリンターで偽造するメイキングも見ることができます。投稿者はまずワイングラスについた指紋を写真撮影しました。



次に、指紋の画像をPhotoshopに取り込み、コントラストを上げてくっきりさせます。



3ds Maxという3DCG作成用のソフトウェアで、指紋が板から浮き上がるような立体データを作成します。作成中の画面を見ると、指紋を波のように浮き上がらせていることが確認できます。



作成したデータを元に3Dプリンターで指紋を作成します。投稿者が使ったのは400ドル(約4万4600円)未満で購入したという「ANYCUBIC PHOTON」という3Dプリンター。Amazon.co.jpでも購入可能で、記事作成時点では5万9999円で販売されています。



3Dプリンター製の指紋が完成しました。実際に3Dプリンターでこれを出力するのに要した時間はわずか13分ほどだとのこと。なお、指紋画像はすべて加工済みで、誰かがこの指紋の画像から同様に3Dプリンターで指紋を偽造しても、投稿者のスマートフォンの認証は解除できないようにしてあるそうです。