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ソニー新フラッグシップスマホを徹底解説

ソニーモバイルは、MWC19 Barcelona開催に合わせて、最新フラッグシップスマートフォンXperia 1」を発表しました。本稿では、Xperia 1の外観や、搭載される機能の詳細を紹介します。

○縦に長いが思ったよりも持ちやすい

ではまず、Xperia 1の外観をチェックしていきましょう。

Xperia 1の最大の特徴となるのが、アスペクト比21:9、1,644×3,840ドット表示に対応する6.5型有機ELディスプレイを搭載している点です。

また、近年のスマホの多くで採用されている、フロントカメラやスピーカーを囲むノッチや穴は存在しません。そのぶん、上部にはやや広めのベゼルが存在していますが、これまでのXperiaシリーズに比べると圧倒的に狭められていますし、左右と下部のベゼル幅は他のベゼルレススマホ同等の狭さなので、ベゼルの存在は従来ほど気にならないです。

サイズは、72×167×8.2mmと、かなりの縦型ディスプレイを採用していることもあって、これまでのスマホにはない縦長ボディとなっています。実際に、Xperia XZ2、XZ3、XZ2 Premiumと並べて比較してみると、飛び抜けて高さがあります。

ただ、幅が72mmに抑えられているためか、手にするとそれほどかさばる印象はありません。XZ3よりも約1mm細くなっていますが、手にした印象はXZ3と変わらないと感じました。ただ、上着の胸ポケットやズボンのポケットに入れると、結構かさばる印象です。

対して重量は180gと、XZ3より13g、XZ2 Premiumとの比較では51gも軽くなっています。競合フラッグシップスマホとほぼ同等レベルの重量で、重いという印象はかなり軽減されました。

 デザインは、側面こそ曲線を取り入れていますが、ディスプレイ面や背面は平坦で、1枚の板といった印象です。シンプルですが、これこそXperiaらしいデザインとも言えるでしょう。

ボタン類は右側面に集約されています。上からボリュームボタン、指紋認証センサー、電源ボタン、カメラのシャッターボタンが並びます。少々残念なのは、指紋認証センサーと電源ボタンが独立して用意されている点です。できればZシリーズで採用されていた、電源ボタン一体型指紋認証センサーにしてもらいたかったように思います。この他、下部側面にUSB Type-C、上部側面にSMIカードトレイを配置しています。

○プロ向けマスターモニターのエッセンスを注入

Xperia 1の4K有機ELディスプレイは、「最高峰かつ最先端のシネマコンテンツを楽しむ」ことを最大の目的としています。そのために、様々なチューニングが施されています。

まず1つが、超解像技術の「X1 for mobile」です。従来の超解像処理と比べ、たとえば1枚の画面の中でも空だけや森だけなど、画面をより細かな領域に分割して、そこに超解像処理を施すことによって、よりコントラストに優れる超解像処理が行えるようになっているとのことです。

また、従来まで「X-Reality for mobile」、「トリルミナスディスプレイ for mobile」、「ダイナミックコントラストエンハンサー」と3つに分かれていた映像技術をX1 for mobileで一元的に扱い、常に最良の状態を維持するようになっているそうです。

○より滑らかで正確な色表現が可能に

そして、もう1つがプロ向けマスターモニターのエッセンスを注入した「クリエイターモード」です。

映像製作現場で使われているマスターモニターの技術を投入した画像処理アルゴリズムと有機ELディスプレイとの組み合わせによって、ITU-R BT.2020の色域に対応するとともに、10bitカラー相当(有機ELディスプレイ自体は8bitカラーの対応だそうですが、2bit分のスムージング処理を行うことで10bitカラー相当の表示を実現しているそうです)の滑らかな階調表現の実現や、D65というホワイトポイントを採用することで、プロ向けモニター同等の表示モードとなっています。

これこそ、シネマ画質を実現する最大の特徴で、従来まではITU-R BT.2020のコンテンツをITU-R BT.709(フルHDの色域)相当で表示していたそうですが、Xperia 1ではITU-R BT.2020のコンテンツをITU-R BT.2020のまま表示(正確には、ITU-R BT.2020の色域はXperia 1の有機ELディスプレイの色表現を上回っているそうですが、人間の目では認識できない部分も含んでいるため問題なく再現できていると認識しているそうです)できるとのことです。

また、Netflixとの協業で、Netflixに入る(注:おそらくNetflixアプリを起動した場合と思われます)と、自動的にクリエイターモードに切り替わるそうです。

そして、映像コンテンツを楽しむ場合に欠かせないサウンド機能については、Dolby Atmosへの対応に加えて、ソニー・ピクチャーズエンターテインメントとの協業によって、3D音響感や会話位置の安定感などを高めているとのことです。

●3眼カメラで生まれる新しい撮影体験とは

Xperia 1では、トリプルレンズ仕様のカメラを搭載しています。レンズの構成は、16mm/F2.4の超広角レンズ、26mm/F1.6の広角レンズ、52mm/F2.4の望遠レンズ(いずれも35mm換算)となります。

広角レンズと望遠レンズには光学式手ブレ補正機能が用意されます。この光学式手ブレ補正は動画撮影時にも有効で、特に暗所での動画撮影時にはかなりの効果を発揮するとしています。

各レンズの撮像素子は、サイズは公表されていませんが、画素数はいずれも1,200万画素となります。このうち、広角レンズと望遠レンズの撮像素子は全画素で位相差オートフォーカスが可能なデュアルピクセルオートフォーカス仕様となります。これによって、暗所でのオートフォーカス性能が大きく向上しているとのことです。

○「α」の瞳オートフォーカスを搭載

スマホのカメラとして初となる、瞳オートフォーカスにも対応しました。人間の瞳を検出して、常に瞳にピントを合わせる機能で、ソニーのデジタル一眼カメラ「α」に搭載されています。特にポートレート撮影時に大きな効力を発揮するでしょう。

また、最大秒10コマの連写時にも高速オートフォーカスに加えて高速自動露出が可能となりました。連写時にも常にピントと露出が正確に設定されますので、連写時の画質も向上しそうです。

また、XZ3に比べて撮像素子の画素数が減った(XZ3では1,900万画素でした)ことで、画素ピッチが14μmと32%大きくなるとともに、レンズもF1.6と明るくなったことで、XZ3に比べて約4倍の高感度撮影が可能になっているそうです。

加えて、画像処理エンジン「BIONZ X for mobile」では、撮像素子から取り出したRAWデータの段階でノイズ低減処理を行ってJPEGに圧縮することで、従来よりノイズを低減し、より高い解像感が得られるようになったそうで、写真画質の向上もかなり大きいようです。

○シネマカメラ同等の「シネマ動画」を撮影可能に

そして、シネマコンテンツの作成を可能とするために、プロ向けデジタルシネマカメラの最新モデル「VENICE」と同等のUIを備え、アスペクト比21:9、24fps、映画同等の色相や絵作りのプリセットを備える動画撮影機能「Cinema Pro」が用意されます。

通常のビデオのようなビビッドな質感ではなく、映画のようなしっとりとした質感の動画が撮影できるという点は、かなり尖った機能ではありますが、刺さる人には非常に魅力的な機能となりそうです。

○ゲームも21:9のディスプレイで変わる!?

21:9のディスプレイを活用するコンテンツとしてもうひとつ定義されているのがゲームです。

まず、Xperia 1に合わせてゲームメーカーと協力し、Epic Gamesの「フォートナイト」、Gameloftの「アスファルト9:Legends」、Tencent Gamesの「Arena of Valor」といった有名スマホゲームで21:9表示への対応が実現されます。それも、単純に画面を21:9に引き延ばすだけでなく、ゲーム側で正式対応となるそうで、他のディスプレイに比べて見えない敵が見えるようになるなどして、より有利にプレイできる可能性が高まるとしています。

また、「ゲームエンハンサー」という機能も搭載します。ゲームエンハンサーでは、パフォーマンスの最適化や通知の制限、ゲームプレイ中の攻略情報閲覧機能、プレイ動画の録画機能、スクリーンショット撮影機能が用意されるそうです。

○これまでのXperiaとは違う魅力の新フラッグシップ

ここまで見てきたように、Xperia 1には様々な特徴的な機能が搭載されます。ただ、MWC 19 Barcelonaの会場ブースでは、実際にこれら機能をじっくり体験できませんでした。それは、まだ画質やカメラなどの最終調整を行っている最中で、最終的に満足のいくクオリティが実現できていないから、とのことでした。

Xperia 1のコンセプトは、『好きを極めたい人々に、想像を超えたエクスペリエンスを』。完成したXperia 1を触ってみないことには判断は難しいと思いますが、非常に尖った仕様は万人受けするスマホからはややかけ離れるかもしれません。

それでも、これまでとは違う魅力を持ったスマホに仕上がることは間違いないでしょう。Xperiaらしさが戻ってきたと感じる製品に仕上がることを期待したいと思います。