NEW YORK, NY - SEPTEMBER 03:  Naomi Osaka of Japan celebrates during the women's singles fourth round match against Aryna Sabalenka of Belarus on Day Eight of the 2018 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 3, 2018 in the Flushing neighborhood of the Queens borough of New York City.  (Photo by Julian Finney/Getty Images)

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 歴史的快挙も手放しに喜べない。世界ランキング19位の大坂なおみが全米オープン・シングルス決勝で元世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズ(米国)に6-2、6-4でストレート勝ち。日本男女を通じて史上初めて4大大会シングルス優勝の快挙を達成したが、試合後の表彰式は異常な雰囲気に包まれた。

大坂なおみ Getty Images


 試合中にセリーナが審判に暴言を吐くなど3度の警告を取られたことに、観衆の怒りが表彰式でもおさまらない。自身へのブーイングと勘違いした大坂は「みんな彼女(セリーナ)を応援していたことを知っています。こんな終わり方ですみません」と涙を浮かべると、「セリーナと全米の決勝で対戦する夢がありました。それがかなってうれしいです。プレーしてくれてありがとう」と16歳上の元世界女王に感謝のお辞儀。ブーイングが祝福の口笛と拍手に変わり大坂もホッとした笑顔に変わったが、心の底から喜ぶ雰囲気ではなかった。

 寛容な移民国家というアメリカの国是とはかけ離れた光景に、批判の声が殺到した。ネット上では「審判へのブーイングって言うけど、試合後の表彰の段階でブーイングし続けるっておかしくない?」、「米国のファンにがっかりした。審判へのブーイングも祝福の場ではやめるべき。大坂なおみがかわいそう。優勝の会見で悲しみの涙なんて前代未聞だよ。恥を知ったほうがいい」と痛烈な批判の書き込みも見られた。アメリカ国内でもメディアがセリーナと観客の態度を批判した。

 ニューヨーク・タイムズ紙は「涙に染められた大勝利」の見出しで、「怒りとブーイングと涙が大坂なおみの素晴らしい勝利を曇らせた」と解説。ニューヨーク・ポストは作家モーリーン・キャラハン氏の論評を掲載した上で表彰式で観客が大坂にブーイングし、全米テニス協会の会長が「私たちが求めた結末ではなかった」「セリーナは王者の中の王者」と述べたことに、「勝者を侮辱するような対応をした」と指摘した。また、同紙の別の記事では表彰式で泣き続けた大坂に同情し、「覇者として純粋な喜びの瞬間であるべきだった」と指摘した。

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大坂なおみ、セレーナ 表彰式一問一答 涙、涙のセレモニー(http://cocokara-next.com/athlete_celeb/naomiosaka-ceremony-of-tears/)

 今回の大坂なおみの涙の会見は世界中で大きな波紋を呼んでいる。ヨーロッパを中心に「全米オープンのファンはマナーが悪い」と非難の声に、「誤解しないでほしい。大坂なおみにブーイングしたわけではない」と米国民が反論してコメント欄が炎上することも。ファンが自国びいきになることは当然だが、試合が終わっても審判に対するブーイングが表彰式でも鳴りやまなかったことに賛否両論ある。いずれにせよ、歴史ある大会で勝者が悲しみの涙を流した事実は重く受け止めなければいけない。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]