左から三戸史雄カメラマン、森さやかアナウンサー、河野暁之プロデューサー。2年前に話題になった弁華別(べんけべつ)小学校の番組を手がけたスタッフが再び集結

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全国で急速に増えている、地域の子どもたちに無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」。札幌市内にある施設と、そこに集まる子どもたちの様子を一年にわたって取材してきたドキュメンタリー番組「HTBノンフィクション ごはんだよ。〜にじ色こども食堂〜」が、5月5日のこどもの日にHTB(北海道テレビ放送)にてオンエアされる。

小さな古民家にある子ども食堂の様子を、一年にわたって取材。ごはんを共にするということの貴重さが伝わってくる内容に/©HTB

番組は3年前に開設された豊平区月寒にある「にじ色こども食堂」が舞台。月に二回オープンする食堂の風景を、そこに集まる子どもたちや、食事を作るボランティアスタッフなど、施設に関わる人たちの様子を一年にわたってカメラを回し続けてきた。

開設当時から同施設に注目して取材を始めたのは、自身も2児の母である森さやかアナウンサー。当初は夕方の情報番組「イチオシ!」のニュースの特集企画としての取材だったが、定点で撮影すればもっとよりこの施設の日常が伝えられると考え、一年を通しての取材を始めた。

全国に比べて北海道は共働きの多さや、通学の関係で両親と離れて暮らす学生など、子ども食堂を巡る環境はより身近だと森アナウンサーは言う。「“地域づくり”というと遠いもののように感じますし、子ども食堂も背景を説明し出すと暗い部分もありますが、言葉による説明ではなく映像を通して空気で伝えることができたら」と、より自然な映像になるために、子どもたちや施設のスタッフとの交流などを通して、番組スタッフがいることも日常風景になるよう溶け込んでいったという。

森アナウンサーと共に子どもたちに混じって、カメラを回し続けてきた三戸史雄カメラマンは「子どもたちの自然な姿を見せたかったので、最初は取材の時もカメラは回さなかったり、あと子どもが嫌がっている日は一切撮らないようにしました」と、子どもたちの輪の中に入れてもらうことを何より大切にしたという。カメラのアングルも子どもの目線に合わせたり、焦点の当て方や色味も子どもの見た目に近くなるようカメラの機材を選んだといい、子どもの立場に立つ映像手法で施設の日常の風景をより描き出している。

番組の河野暁之プロデューサーは「ここでは表現されていないことを皆さんに想像していただき、子ども食堂により興味を持っていただければ」と語るように、ナレーションやテロップも最小限に抑えられているほか、インタビューのシーンなどもない。スタッフと子どもたちの会話や調理、食器の音など、生活感のある映像や音が中心だが、それがより子ども食堂と、そこから見えてくる地域づくりの現状が伝わってくる番組に仕上がっている。

番組は5月5日(土)、午前10時20分から放送。(北海道ウォーカー・有本和貴)