ローマ教皇フランシスコが受刑者に見せた慈悲深い愛(画像は『Metro 2018年3月31日付「Pope Francis washes and kisses inmates’ feet in Rome prison」(Picture:IPA)』のスクリーンショット)

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2013年3月、ベネディクト16世の後を継いでローマ教皇(ローマ法王)となったフランシスコ(伊:Francesco、英:Francis)。世界に約12億人いるといわれるカトリック教徒のトップに君臨したフランシスコはアルゼンチンの出身で、ヨーロッパ出身者“以外”の人物が選ばれたのは1300年ぶり、極めて異例のことであった。その強い信頼と期待に応えながら各方面で活躍するフランシスコは、このほどローマ市内のある刑務所で…。

カトリック教会および教徒に情報を発信している『Catholic News Agency』に、人々の目を引く大変興味深い記事が掲載された。『聖香油のミサ』ほかが行われる「聖木曜日」であった3月29日午前、ローマ教皇フランシスコは司祭たちとともにサン・ピエトロ大聖堂でその共同司式を執った。そして夕方から催される『主の晩餐の夕べのミサ』について、これまでローマ市内や近郊の刑務所、少年院、移民センター、医療施設などで捧げてきたフランシスコがこのたび選んだのは、ローマ市内トラステヴェレ地区にあるレジナ・チェリ刑務所。ここを訪れて受刑者に慈悲深い愛情を示したという。

フランシスコは壇上でマイクに向かい、「イエス・キリストは私たちを許し、深く愛し、決して見捨てることはしません。私たちの心のなかには誰とでも仲良く平和にやりたいと願う気持ちがありますが、実際には憎しみや嫌悪といったそれに相反する感情が渦巻いてしまうことがあります。自分を愛してくれる善良な人々に囲まれていれば平和は簡単に叶いますが、自分を愛してくれず、傷つけてくる人々と仲良くすることは容易ではありません」とまずは犯罪心理への理解を示し、平和な社会の重要性について説くと「善き行いをする人、過ちを犯してしまった人、そのどちらであろうと万人に慈悲と平和の賜物を授けて下さるよう、心の中で神にお祈りしましょう」などと述べた。

続いてイエス・キリストの使徒(12人の高弟)として選ばれた12名の受刑者に対し、フランシスコは腰を下げると用意された桶と水差しでそれぞれの足を洗い、持ち上げてその甲にキスをした。受刑者12名の内訳はカトリック教徒8名、イスラム教徒2名、正教会のキリスト教徒1名、そして仏教徒が1名。出身はフィリピン、ナイジェリア、コロンビア、シエラレオネ、モロッコ、モルドバ、イタリアなどであるという。

彼は「人命が最優先。刑罰とは生きて罪を償ってこそ。人生をやり直す希望を伴うべきものである」と謳う死刑廃止論者である。看守らには「ここでの職務に希望や明るい気持ちを失うことなく、すべての受刑者がいつか社会復帰できるよう助けてあげて下さい」と述べてからレジナ・チェリ刑務所を去っていったが、病気療養中の受刑者の見舞いも忘れなかった。

こうした刑務所での奉仕活動はこれで4度目だが、「プライベートで」という本人の意思によりいつも非公式である。常に人々と寄り添い気軽に話しかけ、しかし真実を誠実に話そうとする姿勢が素晴らしいローマ教皇フランシスコ。来年にも白内障で手術を受けるそうだ。

画像は『Metro 2018年3月31日付「Pope Francis washes and kisses inmates’ feet in Rome prison」(Picture:IPA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)