27歳「航空系地上職女子」が貯金ゼロの理由
27歳で航空会社のグランドスタッフ女子なら「合コン」は「引く手あまた」のはず。なのに「貯金ゼロ」なのはなぜ?(写真:Ushico / PIXTA)
今回、私たちファイナンシャルプランナーの事務所に「おカネの相談」に訪れたのは、航空会社でグランドスタッフ(GS、地上旅客係員)をしているC子さんです。年齢は27歳。おカネのことには無頓着で、今まで特に気にしたこともなかったようですが、先日、高校の同窓会で会った昔の友人たちの話を聞き、みんな貯金をしていてびっくり! あわてて、私たちの事務所に相談しに来たそうです。
それもそのはず、C子さんの貯金額はわずか20万円程度。ほぼゼロに等しい額です。27歳なら、数百万円貯めている人もいるなかで、このまま30代に突入してしまったら、ますます大変です。まずはC子さんのおカネ事情をしっかりヒアリングすることにしました。
「憧れの職業」の実態は「低給料」と「体力勝負」!?
C子さんの勤務場所は、成田空港。空港の内勤なので規則的か、と思いきや、さにあらず。早番、遅番のシフト制の勤務体制となっていて、休みも不規則。しかも、ほぼ1日中、立ち仕事で空港内を歩き回ることも多いため、体力的にも厳しいとのことです。
航空会社で働くことは、女子の憧れの仕事のはずですが、結構きついわりには、彼女の月の手取りは20万円程度。決して多いとは言えません。住居は寮なので住居費はあまりかからず、生活自体はなんとかなっているものの、勤務の日は仕事が終わると何もできないくらい疲れてしまい、ストレスも溜まるそうです。
その反動からか、休みの日は、航空券が格安になる航空会社勤務の特権を生かして、グランドスタッフの仲間と旅行。旅行先で買い物をしたり、豪華な食事をしたりするため、おカネが貯まらないということでした。
なるほど。C子さんと職業が違っていても、似たようなケースはたくさん見てきているので、貯金が少ないのは「旅行しすぎが原因かな」と思いました。しかし、もう少し話を聞いていくと、実はそれ以外の大きな理由があったのです。
C子さんには、旅行のほかに、おカネが貯まらないもう一つの大きな原因がありました。それは、休みの日や早番シフトで夜が空いている日に、参加する「合コン」の費用がかさんでいることでした。
C子さんは、やりがいはあるものの、給料も安く体力的にきついこの仕事を、将来も続けていけるイメージがわかず、不安だと言います。実際、20代のうちにグランドスタッフを辞めてしまう人がかなりにのぼるようで、同期をはじめ20代の同僚は結構辞めてしまったとのこと。C子さんは、とにかく早く結婚したいこともあり、休みの日や時間が空くと、仲間と旅行に行く以外はすべて、合コンに行っているようでした。
「あれ、花形のお仕事でもあるし、女性はおごってもらえるのではあまりおカネがかからないのでは?」と疑問に思いましたので、C子さんにそれを尋ねてみました。すると、合コンの相手は、医者や弁護士、起業家など年収1000万円超の高収入男性ばかり。彼女によると、「高収入の男性とお付き合いするには、身なりを整えるための買い物や自分磨きもちゃんとしないといけない」というのです。
「他人依存」ではなく、自分の足で立つことを考える
将来の不安から強い結婚願望があり、そして合コンざんまいになる、というのも気持ちはわかります。しかし、ここは一度、自分の足でしっかり立つということを考えてみるべきです。他人に依存しているうちは本当の意味で幸せになることはできませんよね。いまや、「人間は人生100年時代に入った」と言われ始めました。「依存」から「自立」へ。これが、これからの時代を生き抜く「キーワード」だと思うのです。
つまり、将来的に仕事を続けていけないと思っているのなら、「すぐ結婚」もわかりますが、転職を考えることも一つの方法です。これからの世の中に求められる能力・スキルは何かを見極め、自分の実力を伸ばすためにおカネも時間も使うことを考えてみるのがよいでしょう。
C子さんは、結婚したら専業主婦を希望しているようでしたが、合コンやその他で良い人に出会い、結婚したとしても、これからの時代は共働きが基本になってくるでしょう。
実際、C子さんが求めているような年収1000万円以上のサラリーマンは、日本人男性の全体の5%前後といわれています。もちろん、高収入の男性と結婚する可能性はありますが、たとえばもし離婚したらどうなるでしょうか。C子さん自身が自分の足で立つことを考えないと、結婚後の人生の不安は払拭できないでしょう。
まずは「月給の3カ月分の貯金」を目標に
C子さんは、給料の半分以上を買い物や合コンに使ってしまっている現状を変えなければなりません。本来なら、これからの人生設計をじっくり考える必要がありますが、貯金がほとんどないという状態は早急に解決すべき問題です。
まずは、生活費の3カ月を目標に貯金していきましょう。なぜ3カ月かというと、万一身体に支障をきたし、働き続けるのが困難になって自分から退職を申し出た場合、失業保険がもらえるまでの待機期間が3カ月あるからです。その期間、貯金がないと生活することはできません。
そのために、「手取り収入の2割」は確実に貯金し、残りのおカネで生活費をまかない、その範囲内で旅行や合コンに行くのは良いでしょう。ただし、目指していただきたいのは、毎月の貯金と並行して、経済的にも精神的にも自立ができるよう、表面だけではない、「本当の自分磨き」に専念することです。自分の能力・スキルがアップし、自立できるようになれば、パートナーを選ぶ視点も広くなり、より自分にあったすてきなパートナーに巡りあえるのではないでしょうか。