ストレスだらけの1週間を過ごした果てに、私は片手にはさみ、もう片方の手に15cmぐらいの自分の髪を束にして握り、髪を切ろうと決心しました。2、3回、はさみでチョキチョキ切ると、「やった!」と勝利の感覚が。1週間後に、プロの美容師にお金を払って直してもらったのですが……。

でも、自分で自分の髪を切った瞬間は、何かから解き放たれた気がして、最高の気分でした。

人はなぜ衝動的に髪を切りたくなるのか?

誰にでもそういった経験はあるのではないでしょうか? たとえば、失恋した直後などです。でも、髪を切りたいと衝動的に思うのは、失恋のせいだけではありません。「人は、自分のコントロールが及ばないと感じるような状況に陥ると、ストレスが多くなり、衝動的に髪を切りたくなることがわかりました。」とマンハッタンでキャリアコーチを務める心理学者のLauren Appio博士は語っています。

衝動的に自分の髪を切りたくなるのには実際的な理由もあることはもちろんですが、ここではそれは論じません。捨ててしまいたい!という、「いても立ってもいられない衝動」について論じようと思います。

Appio博士によれば、人は退屈を感じたり「何らかの形で行き詰まった」ときに、衝動的に髪を切りたくなることが多いそうです。私の場合を例にとると、過酷な締め切りに間に合うよう、本を書き上げようとしているので、集中力を要する厳しい執筆計画に沿って何週間も過ごさないといけない状態でした。そんな状況だったので、何か新しいものがほしくてたまらなかったのです。目新しいものがあると気分が良くなるので、生産性は向上します

では、なぜ髪の毛なのでしょうか? 「外見が著しく変化すると、自分の行動の結果がすぐ目に見えるので、自分のパワーを認識でき、気分が落ち着くからです」とAppio博士は言います。

それに、髪の毛は象徴的でもあります。毛髪を剃っている友人が、私が彼女のように頭を剃るかどうかで悩んでいたとき、「大したことじゃないってば。髪の毛なんか、また伸びるんだから」と言いましたが、髪の毛は一見重要でないように思えても、その人のアイデンティティーと結びついているのです。

ヘアスタイルは、しばしば性別と文化を意味するものです」とAppio博士は私に言いました。「ヘアスタイルを変えるということは、自分の属するコミュニティとの結びつきを強化したいという気持ちの現れか、あるいは、外見や体裁に関する文化的あるいは社会的な規範に挑戦したい気持ちの現れかもしれません」

たとえば、イギリスの政治・文化雑誌New Statesmanで、フェミニスト文筆家のLaurie Pennyさんはヘアスタイルを「ベリーショート」にすることにした理由を次のように説明しています。

ショートヘアにする利点の1つは、バスの中で平穏な気持ちで私の本を読みやすくなることです。私があえてこれに言及するのは、世間で1人の人間が女性性と折り合いをつけるということがどういうことなのか、ほとんど、あるいはまったく考えたことがない男性が明らかに存在するからです。「男性の性的注意を引くことは、私にとって最優先事項ではない」ということを意識的に表す行動を選択したことは、私の人生に想像以上の変化をもたらしました。

言い換えるなら、髪の毛は自分自身の選択つまり、アイデンティティーと結びついているので、ヘアスタイルを変えるととても気分が良くなるわけです。

衝動的に髪を切る前に考えるべきこと

もちろん、自発的に髪を切ることは、私にとって目新しいことではありません。2010年から2014年は、衝動的に髪を切っては気分が良くなったり後悔したりの繰り返しでした。「心理学的観点から言えば、衝動的な行動はひんしゅくを買うものではないか?」と私がAppio博士に尋ねると、「衝動を生む欲求があることを意識する必要があります。そうしない限り、強烈な衝動が起きて、緊張や過剰なエネルギーが発生するのを感じ、それに従って行動することで緊張を開放する、という循環を何度も経験することになります」と博士は答えました。

では、衝動的に髪を切りたくなったとき、その衝動に従わない方が良い理由を考えてみましょう。

・目新しさはすぐになくなる:新しいヘアスタイルにしても、目新しさはすぐに消えてしまいます。切った後で、気に入らないヘアスタイルや手間がかかるヘアスタイルににっちもさっちもいかない状態になるかもしれません。今の私は髪を洗うたびに髪をストレートに伸ばしていますが、面倒でたまりません。

・どんな結果になるかはわからない:ストレートのきれいな髪をしている女性は特にそうですが、いとも簡単に変な髪型になってしまうこともあります。私の髪は硬くてストレートとくせ毛が半々です。そのため、プロに任せたほうが良い場合があります(プロでさえ、よく失敗します)。

・ヘアスタイルよりも大事なことに集中できなくなる:「一般的に、私は衝動に対しては、反応するよりも対応することを奨励しています。ある行動が有益か無益か判断するには、その行動が自分にとってどのように働くのか?を考えることが大切です。たとえば、髪を切ると自分にどのように役立つのか、自分の中に沸き起こった衝動に反応するとどのような害があるのか、いろいろと考えてみることです」とAppio博士は言っています。

確かにその通りで、衝動的に髪を切ると、後悔の念に何日も苛まれることもよくあります。

そうは言っても、思い付きで髪を切るのは気分転換には最適であることも事実。次に、やってみるだけの価値がある理由を見ていきましょう。

・開放感が得られる:古いものを捨てて新しい物を取り入れる感覚はカタルシスです。それに、何かを自分でコントロールしていると感じるのも気分が良いことです。たかが髪くらいで大げさかもしれませんが、ささいなことであっても、何かを決めるという行為は、自分のパワーを感じさせてくれるものです。

・変化するのは良いこと:目新しさがあるのは良いことです。生産性、モチベーション、創造性が高まります。

・しょせんは髪の毛に過ぎない:確かに、髪はアイデンティティーの象徴ですが、象徴は何かを代わりに表す以上のものではありません。象徴としての髪で、実際にその人のアイデンティティーが決まるわけではないのです。変な髪型になってしまったときは、そのことを思い出しましょう。

「完璧主義か考えすぎで優柔不断になる傾向がある人は、もう少し自発的な行動を取ろうとすることが良い訓練になります。不完全な選択をしても、破滅することもなければ、結果を楽しむことさえできるということがわかります。うまくいけば、クリエイティブになれたり、自分の外見を好きになったり、最小限のリスクで新しいことに挑戦する方法になります」とAppio博士は言っています。

はっきり言えば、たとえ髪を切って失敗したと思っても、やはり気分が良くなるかもしれません。私の友人が言うように、髪は伸びます。

髪を切る前に自問すること

「髪を切るぞ」という方向に気持ちが傾いているけれど、まだ心が揺らいでいるとしましょう。もう少しちゃんと考えてからにしたいと思うなら、以下の質問を自分に問いかけてみてください。

私は衝動的に髪を切りたくなったら、「前にも同じことがあった。そのときはどうなったんだっけ?」と自分に問いかけて、過去の同じような体験でどれだけフラストレーションを感じたのか、思い出すようにしています。そうすると、髪を切った後の後悔の方が、変化を求める気持ちに勝つことがあるのです。Appio博士は、以下の質問を自分に投げかけるように勧めています。

・髪を切ることで何を満たそうとしているのか?:たとえば、気分を落ち着けたいのか、それともやりたいようにできるパワーを感じたいのか。

・髪型を変えることでどんなリスクを取ることになるのか?:そのリスクを喜んで受け入れたいと思うか。髪型を変えることで、どんなリスクを取ることになるのか。そのリスクを喜んで受け入れたいと思うかどうか。

・もっと効果的な方法で欲求を満たせないか?:「今、酔っぱらっていない?」と自分に問いかけるのも良いでしょう。退屈していたり酔っぱらっていたりするときに行う選択には後悔がつきものです。さらに、現実的な観点から見れば、近日中に結婚披露宴などのイベントを控えていないかどうか、考えてみましょう。衝動的に髪を切って気に入らない髪型になったとしても、大勢の人が集まるイベントまでに、髪が伸びるかどうかです。あるいは、会う人、会う人に、「あれ、髪を切ったの?」と言われる状況を想像してみましょう。

それでも決行することにしたら

それでも、髪を切ることに決めたら、決行しましょう。ヘアサロンに行ってプロにやってもらうのがベストかもしれませんが、それも賭けは賭けですし、自分で切らなくてもドラマが生まれる可能性はあると思います(店によっては予約を受け付けないところもあります)。でも、どうしても自分で髪を切りたいときは、次のことを守りましょう。

事前にリサーチする

YouTubeをお手本にするのは当たりのときもあればハズレのときもありますが、プロのスタイリストから良い情報をたくさん得られるのも事実です。ただ、多くのスタイリストは自分で自分の髪を切ることはないので、思っているほど簡単ではありません。

私は結局サロンへ行って、自分で切って失敗した髪を直してもらったのですが、そのときのスタイリストはいったいどうやって私が後頭部の髪を切ったのか、困惑していました。実際に自分で後頭部の髪を切るときは、複数の鏡を使って、自分の髪をあらゆる角度から見られるようにする必要があるので、次のものを準備しましょう。

・ちゃんとしたヘアスタイリング用のハサミ(台所用のハサミはダメ)

・最低でも2枚の鏡

・髪をまとめるゴム数個

・切り落とした髪を片づけやすいように新聞紙などの床に敷くもの

ある程度の試行錯誤は避けられません。均一に切れて、うまくできたと思っても、後頭部を見たとたん、変になっている……と気づくことはよくあります。それを考えると、髪を切る時間も良く考えるべきです。思ったよりも時間がかかるかもしれませんし、当初の計画よりも多く切ることになるかもしれません。長めに時間を取ってやり遂げましょう。

バックアップ・プランを用意しておく

自分で髪を切ったら、幼稚園児が工作用のハサミで切ったような仕上がりになった……という、ありがちな筋書きにも備えておきましょう。自然に髪が伸びるのを待っても良いですが、耐えきれないほど変な髪型になってしまったら、私のようにサロンへ駆け込んで直してもらいたくなるかもしれません。そうなった場合に備えて、予算と時間を割いておきましょう。

切った髪は寄付する

最後に、切った髪は是非寄付しましょう。かつらを作るために毛髪を集めている慈善団体がたくさんあります。たとえば、パンテーン(シャンプーの会社です)とアメリカがん協会は、がんで苦しむ女性たちにかつらを寄付していますし、Locks of Loveは長期的に髪の毛を失っている子供たちにかつらを提供しています。お住いの地域のヘアサロンにオススメの寄付先を聞いてみてもいいかもしれません。

ほとんどの慈善団体は、8-10インチ(約20-25.5cm)の髪を募集しており、ゴムバンドで束ねてから切った髪を郵送する仕組みになっています。団体によっては、染めた髪かどうか聞いてくるところもあるので、寄付しようと思う団体の募集要項をチェックしましょう。衝動的に髪を切ることでカタルシスになる上に、切った髪を寄付すると良い行いをしたという満足感も得られます。

Why It Feels So Good to Chop off Your Own Hair | Lifehacker US

Source: New Statesman

Reference: Lifehacker US, YouTube1, 2, 3, Bustle, Lifehacker Vitals, Pantene Beautiful Lengths, Locks of Love

Photo Illustration: Elena Scotti/Lifehacker US/GMG, Image: Shutterstock via Lifehacker US