「愛子」駅……実は「あいこ」駅とは読みません。「読めそう」なものから、「ぜんぜん読めない」ものまで、全国には様々な難読駅名が存在します。

あの人と同じ読みとは限らない

 全国に9000以上が存在している鉄道の駅。なかには読みづらい駅名も存在します。


難読駅として知られるJR山陰本線の「特牛」駅。(2008年3月、恵 知仁撮影/読みの部分にモザイクを入れています)。

一見カンタン? 正しい読みは…

・「愛子」JR仙山線、仙台市青葉区
・「石原」JR山陰本線、京都府福知山市
・「木下」JR成田線、千葉県印西市
・「開発」富山地方鉄道上滝線、富山県富山市
・「栗田」京都丹後鉄道宮津線、京都府宮津市
・「轟」えちぜん鉄道勝山永平寺線、福井県永平寺町

 愛子駅は、2001(平成13)年に皇太子ご夫妻の長女、愛子様が誕生された際、漢字が同じことから話題になりましたが、読みは「あいこ」ではありません。石原駅は埼玉県の秩父鉄道にもあり、山陰本線の石原駅とは読みが異なります。一方、開発駅は、えちぜん鉄道勝山永平寺線・越前開発駅の「開発」と読みが同じです。

 それぞれ「あやし」「いさ」「きおろし」「かいほつ」「くんだ」「どめき」と読みます。ちなみに秩父鉄道の石原駅の読みは「いしわら」です。

3文字の駅名、どう読む?

・「浅海井」JR日豊本線、大分県佐伯市
・「風合瀬」JR五能線、青森県深浦町
・「大楽毛」JR根室本線、北海道釧路市
・「北一已」JR留萌本線、北海道深川市
・「晩生内」JR札沼線、北海道浦臼町
・「挿頭丘」高松琴平電鉄琴平線、香川県綾川町

 浅海井駅は九州最東端の駅です。北海道の大楽毛駅は釧路市の工業地帯に位置し、隣には新大楽毛駅もあります。北一已は「一已」が地名で、その北に位置していることにちなむ駅名。ちなみに大楽毛、北一已、晩生内とも、アイヌ語由来の地名です。

 それぞれ「あざむい」「かそせ」「おたのしけ」「きたいちやん」「おそきない」「かざしがおか」と読みます。

少しレベルアップ! 漢字は同じでも読み方が違う?

 少しレベルアップしましょう。

迷う読み方 「そう来たか!」

・「朝来」JR紀勢本線、和歌山県上富田町
・「浅水」福井鉄道、福井県福井市
・「美談」一畑電車、島根県出雲市
・「出馬」JR飯田線、静岡県浜松市
・「西院」京福電鉄嵐山本線(嵐電)、京都市中京区
・「笑内」秋田内陸縦貫鉄道、秋田県北秋田市

 和歌山県の朝来駅は、兵庫県朝来市の「朝来」とは読みが異なります。西院駅は阪急京都線との乗り換え駅ですが、阪急の駅や住所は別の読み方をします。笑内はアイヌ語由来の駅名です。

 駅名はそれぞれ「あっそ」「あそうず」「みだみ」「いずんま」「さい」「おかしない」と読みます。ちなみに兵庫県朝来市の読みは「あさご」、阪急の駅名と住所の「西院」は「さいいん」です。

最難関レベル? 難しい漢字、想像とまったくちがう読み方

・「艫作」JR五能線、青森県深浦町
・「厳木」JR唐津線、佐賀県唐津市
・「府中」JR徳島線、徳島県徳島市
・「上枝」JR高山本線、岐阜県高山市
・「及位」JR奥羽本線、山形県真室川町
・「特牛」JR山陰本線、山口県下関市

 艫作駅の「艫」は、意味としては船尾を表す言葉です。「府中」駅は東京都と広島県にもありますが、それらとは読みが大きく異なります。及位、特牛も、それぞれの漢字にはない特殊な読み方をします。

 それぞれ「へなし」「きゅうらぎ」「こう」「ほずえ」「のぞき」「こっとい」と読みます。ちなみに東京都(京王電鉄)と広島県(JR福塩線)の府中駅の読みは「ふちゅう」です。


難読かつ珍名として知られるJR奥羽本線の及位駅(2009年7月、恵 知仁撮影)。

 一見単純そうだったり、反対に難しそうだったり、あるいはほかの同名駅と読みが同じかと思いきや、そうとは読まなかったり……やはり難読駅は「読めない」ものがあります。

【表】難読駅名の読み方一覧


記事で紹介した難読駅の一覧(乗りものニュース編集部で作成)。