バーのメニューなどでよく見かける、「ウイスキー」「バーボン」「スコッチ」という3つの洋酒。見た目も味もよく似たこれらのお酒ですが、その違いは何なのでしょうか。オトナンサー編集部では、独立行政法人酒類総合研究所の担当者に聞きました。

ウイスキーの発祥はアイルランド

 ウイスキーの原料は、麦芽やトウモロコシなどの穀類です。粉砕した原料を温水と混ぜてデンプンやたんぱく質を分解、糖度を高めて発酵させた後に蒸留し、木製の樽で熟成させたお酒の“総称”がウイスキーです。

 現在のアイルランドで、ケルト人によってつくられたのが始まりとされ、木の樽で熟成させたことによる、深いコクと香りが大きな特長です。麦芽のみを使用し、単式蒸留機と呼ばれる蒸留釜でつくったものが「モルトウイスキー」、トウモロコシなどの穀類に麦芽を混ぜ、連続式蒸留機でつくったものが「グレーンウイスキー」。また、両者をブレンドした“いいとこ取り”が「ブレンデッド」と呼ばれます。

 スコッチは、スコッチウイスキーの略称です。英スコットランドが発祥で、同国には現在も蒸留所が100カ所ほどありますが、その多くは伝統的に、スコットランドに立地しています。

 スコッチはモルトウイスキーが多く、容量700リットル以下の木樽に3年以上熟成する、などの決まりがあり、通常は樫樽で7年以上熟成を行います。重厚な味わいのものが多く、麦芽の乾燥に「ピート」という泥炭を用いるため、独特の煙の香りがするのが特長です。これがアイリッシュウイスキーとの大きな違いといいます。

ホワイトオークの新樽を使うバーボン

 バーボンは、バーボンウイスキーの略称です。米ケンタッキー州発祥で、現在もその多くが同州でつくられています。グレーンウイスキーで、原料の51%以上がトウモロコシであることや、アルコール度数80度以下で蒸留し、内側を焼き焦がした「ホワイトオーク」の新樽を使って62.5度以下で熟成させる、などの決まりがあります。

 原料のトウモロコシやライ麦などの味わいは控えめですが、すっきりと華やかな香味が持ち味。樽の焼き焦がしに加えて、小さめの樽に貯蔵するため熟成が早く、赤みがかった色と強い樽の香りが特長的です。

 つまり、スコッチとバーボンはそれぞれ、代表的な「ウイスキー」の一つなのです。スコッチは、19世紀半ばの技術革新で、スコットランドがアイルランドをしのぐウイスキーの一大産地になったことで広がり、バーボンは、トウモロコシを原料とした特長的な香りによって人気が出ました。

 ちなみに、バーボンとスコッチは「世界五大ウイスキー」に数えられており、残る三つは「アイリッシュウイスキー」(アイルランド)、「カナディアンウイスキー」(カナダ)、そして「ジャパニーズウイスキー」(日本)だそうです。

(オトナンサー編集部)