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By Eirik Solheim

コンピューターやゲーム機などの電子製品などの本体に貼られていることがある「Warranty void if removed (このシールを剥がすと保証は無効)」の封印シールは、アメリカの法律に照らし合わせると実は違法であることが知られています。しかしそれではなぜ、各メーカーは「違法」にもかかわらずそのシールを使い続けているのか、その内情をテック系メディアのExtremeTechが論じています。

Microsoft, Sony, and other companies still use illegal warranty-void-if-removed stickers | ExtremeTech

http://www.extremetech.com/gaming/233120-microsoft-sony-and-other-manufacturers-still-use-illegal-warranty-void-if-removed-stickers

ゲーム機などの本体を留める重要なネジ穴などの上に貼られることの多い封印シールは、自社のサービスマン以外による修理を防止し、「不正な処置」が行われないようにするために使われています。メーカー目線で見ると、「意図しない修理や改造が行われたハードウェアまで保証できない」という主張が見えてくる対応策となっているわけですが、実はこの行為はアメリカで定められている法律に抵触する可能性が極めて高いことが知られています。



By Joe Hall

その法律は、1975年に制定された「1975 Magnuson‐Moss Warranty Act (MMWA:マグナソン・モス法)」と呼ばれるもので、企業に対し、消費者に高価な修理契約を結ばせたり、「認定業者」による正規部品との交換を強制することを禁じています。特にこの法律が適応されるのは自動車販売の現場で、いわゆる「純正部品」だけをユーザーに強制することを禁じています。

これと同じことをユーザーに強いているのが、各メーカーによる封印シールというわけです。不公正な競争方法の防止と独占禁止法に違反した企業の調査を行うアメリカ連邦取引委員会 (FTC)の報道官であるフランク・ドーマン氏は「そのようなシールは、MMWAの規定である『消費者に対し、保証人が事前に承認した部品しか使用できないことを暗示する』に抵触する不正な行為にあたります」と、シールが消費者を保護する法律に違反していることを明言しています。

それではなぜ、メーカーは違法であるシールを使い続けているのでしょうか。ExtremeTechはその答えを「メーカーは、消費者が何もできないと知っているから」と論じています。メーカーによる「不正な」行為によって純正部品の使用を強いられることで、修理にかかる支払金額は増加します。そこでたとえば、消費者がMMWAを盾に裁判を起こしたとしても、取り戻した金額よりも裁判費用のほうが多くなるため、いわば「消費者は『泣き寝入り』せざるを得ない」というのがExtremeTechの見解です。



By andrew cosand

これが、自動車の部品だと状況は変わります。例えばトランスミッションが壊れたとして、安い社外品があるにも関わらず、ディーラーが何十万円もする純正品のみを勧めて買わせたとすると、これは裁判を起こして裁判費用が生じたとしても、裁判のメリットが生じます。かたや、修理費用が5万円以下というゲーム機などの場合は、裁判を起こしても結局は損をするだけのため、消費者は何もアクションを起こせないことをメーカーは熟知している、というのがExtremeTechの見方というわけです。