日本と中国がアジア各国の高速鉄道市場で受注競争を繰り広げているが、高速鉄道技術を持つのは日中だけではない。ドイツやフランスも高速鉄道技術を持ち、両国ともにマレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画への入札に参加する意向を示している。(イメージ写真提供:(C)hulv850627/123RF.COM)

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 日本と中国がアジア各国の高速鉄道市場で受注競争を繰り広げているが、高速鉄道技術を持つのは日中だけではない。ドイツやフランスも高速鉄道技術を持ち、両国ともにマレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画への入札に参加する意向を示している。

 中国メディアの参考消息はこのほど、ドイツの国際放送事業体であるドイチェ・ヴェレが各国の高速鉄道システムを比較する記事を掲載したことを紹介し、「中国高速鉄道は最速で、新幹線はもっとも安全性が高い」などと伝えた。

 記事は、欧州における高速鉄道の先駆者として、フランスのTGVを挙げ、「フランスがTGVの営業路線を開業させたのは1981年のことだった」と紹介し、パリとリヨンというフランスの2大都市がTGVによってわずか2時間足らずで結ばれたと紹介。07年には試験走行で時速574キロメートルという記録を打ち立てたほど、高い技術の裏付けがある高速鉄道システムであることを紹介した。

 続けて、新幹線について「世界で始めた開業した高速鉄道システム」であるとし、1964年の東京五輪にあわせて開業したものと紹介。当時の時速は200キロ程度だったとしながらも、現在は最高時速300キロに達するとしたほか、「ダイヤに正確で、安全性も高い」と伝え、新幹線はこれまで一度も乗客の死亡事故は起きていないと伝え、その「信頼性」の高さを指摘した。

 新幹線がアジア各国で受注競争を繰り広げる中国高速鉄道については「ドイツなどの技術を導入して2003年に開業したばかり」としながらも、最高時速は350キロとほかの高速鉄道システムを大幅に超えることを指摘。1000キロの区間も4時間あれば到着できると伝え、後発でありながらも速度の点ではほかの高速鉄道システムを上回る性能を持つことを伝えている。

 中国では自国の高速鉄道について「営業速度としては世界最速」などと胸を張る意見が見られるが、2011年に発生した衝突事故を受け、現在は速度を落として運転を行っている。不特定多数の人が利用する公共交通機関である以上、速度よりも安全性が優先されるべきであり、その点で高い安全性が確立されている新幹線は他国が追随できない水準にあると言えよう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)hulv850627/123RF.COM)