写真はフジテレビHPより

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 8月30日、東京・永田町の国会議事堂前に集った「安保法案反対」派の市民と民主党、共産党などの野党4党の党首たち。その数およそ12万人(主催者発表)という大規模デモだった。デモが行われたのは国会周辺だけでなく、北海道から沖縄まで全国300カ所以上。海外でも、

「政治に無関心と思われた日本人が目覚めた」

 などと大きく報じられた。

ビートたけし、美輪明宏、笑福亭鶴瓶らの主張とは

 9月11日に迫る参院採決を前に、危機感を募らせる人たちの中には、もちろん芸能人や有名人も多く含まれる。

「貧しくとも憲法を守る平和な日本を、みんなで頑張ってやるべき」

 と集団的自衛権について語るビートたけし(68)。

「安倍首相も自民党に投票した人も、まず自分が戦地に行きなさい!」

 と一喝した美輪明宏(80)。

「アメリカに乗せられて、後方支援、後方支援と言っているけれど、せんでええねん。したらあかん」
「今の政府がああいう方向に行ってしまうのを止めなくてはダメ」

 と主張する笑福亭鶴瓶(63)。さらに元SPEEDの今井絵理子(31)はTwitterに、

「今の日本の流れを拝見すると、どこかプチ戦争なら賛成!みたいに見えるのはわたしだけでしょうか?」

 と終戦記念日にツイートを行った。

 ほかにも渡辺謙(55)や女優の樹木希林(72)、くるりの岸田繁(39)、タレントのSHELLY(31)、教育評論家の尾木直樹(68)など、実に多くの有名人が「安保法案反対」を表明している。

 アニメ監督の宮崎駿氏(74)は記者会見で、

「安倍首相は、憲法の解釈を変えた偉大な男として歴史に残りたいと思っているはずだが、愚劣なことだ」

 と痛烈に批判し、音楽家の坂本龍一(63)、映画監督の高畑勲、室井佑月(45)、いとうせいこう(54)、爆笑問題・太田光の妻で芸能事務所社長の太田光代(51)といった各氏らは安保法案反対のデモにも参加している。

 文化人はともかく、人気商売である歌手やタレントにとって、政治的発言はファンを失うリスクが大きい。その点で目を見張る存在が、SMAPの中居正広(43)だ。中居は一歩踏見込んだ発言をしたひとりだ。

 9月3日発売の『女性セブン』(小学館)では、中居が『ワイドナショー』(フジテレビ系)において松本人志(51)や石原良純(53)ら出演者らがデモ反対の意見を表したところ、

「若い子が声を上げるのは、いいことだと思います。僕が嬉しかったのは、『あ、関心を持っているんだ』ってこと。(中略)なんか動かなければ、これは通ってしまうぞっていう意識を持っていることは、僕はすごくいいことだなと思います」

 と、先輩たちの前で真逆の意見をはっきり伝えたことを紹介している。

 中居はこれまでにも同番組内で、他の出演者が日韓関係の悪化を「しょうがない」と言うなか、たったひとり、

「謝るところは謝ればいいんじゃないですか?」
「謝ったら負けとかそういうレベルなんすか?」

 と言って引き下がらなかった。

「エンブレム問題の佐野研二郎氏(43)を“クロ”と断定するなど持論がハッキリしている松本の意見には、普段から出演者にも右にならえという空気がある。そこで一人でも臆すことなくあのように発言できる中居くんは実はすごい。ジャニーズタレントでも唯一無二の存在感です」と言うのはテレビ局関係者。

 様々な批判やリスクがありながらも覚悟を決めて発信する彼らを前に、安倍政権はどのような“覚悟”と“責任”を果たすつもりなのだろうか──。

(文/チロル蝶子)