蝉谷めぐ実さん今年の山田風太郎賞が蝉谷(せみたに)めぐ実さんの「万両役者の扇」(新潮社)に決まった。江戸期を舞台に、とある歌舞伎役者に関わった人々がじわじわと人生を狂わされていく過程を描いた鬼気迫る芸道小説だ。蝉谷さんは10月21日の会見で、「歌舞伎の好きな部分を全部込めた作品なので評価されてすごくうれしい」と喜びを語った。物語の中心人物は気鋭の女形、今村扇五郎。だが、語り手は彼ではない。熱を