自身初の開幕投手へ 中日・山井大介が秘める魅力
自身初の開幕投手を任されたベテラン山井
シーズンの流れまでを変えるようなピッチングも、この男なら出来るかもしれない。中日は27日に阪神との開幕戦を迎える。自身初の開幕投手の大役を射止めたのは、ベテランの山井大介だ。
吉見、大野らとの競争を制した形となったが、順当な結果ともいえる。昨季は13勝5敗、防御率3・21で、最多勝と最高勝率(7割2分2厘)の投手2冠に輝いた。就任1年目は、前年わずか1勝の川上を開幕投手に指名するサプライズを見せた谷繁元信選手兼任監督も、2年目は「昨年2冠だし、若い投手を引っ張ってくれている」と実績を重視したことを明かしている。
遅咲きの右腕だ。昨季の13勝がキャリアハイ。プロ13年目、36歳で初の2桁勝利到達は、プロ野球最年長記録だった。
シーズンを通して1軍でプレーしたのは、11年目の2012年が初めて。この年は先発、中継ぎ、抑えとフル回転。56試合に登板したが、それまでは度重なる故障や好不調の波の激しさから、7勝が最高。数字を追い求めるよりも、「1年間、1軍で活躍したい」という思いが何よりも強かった。
大舞台ほど力を発揮する右腕、敵地での開幕戦で阪神打線を封じられるか
近年は調子の悪い試合でも、粘りの投球で白星をつかむ安定感を身に着けたことが好成績につながっているが、以前から備えている大きな魅力もある。
山井には1、2年に一度、究極の集中状態“ゾーン”のような境地に入ることがあるという。
狙って「アドレナリンが出ているのが分かる」という、その状態になれるわけではない。しかし、例えば今も語り継がれる8回完全投球を見せた 2007年日本シリーズのように。ひとたびスイッチが入れば、思うように打者を手玉に取ることが可能となる。
中日は2年連続でBクラスに沈み、今季も下馬評では苦戦が予想されている。そうした中で、敵地で迎える開幕戦。大舞台ほど力を発揮する右腕が“ゾーン”に入り、猛虎打線をねじ伏せる展開となれば、チームに勇気を与え、勢い付かせることは間違いない。