今、何時?

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先日、埼玉県警の警察官が、捜査中に制止を振り切った乗用車に引きずられ、身につけていた高級腕時計「ロレックス」が壊れたなどとして、乗用車の男性に、慰謝料や時計の修理費など合計「約360万円」の損害賠償を求めていたことが分かった、というニュースが流れた。共同通信や朝日新聞などが2015年1月下旬に報じ、話題になった。

ツイッターでは、「そんな高額なものを身につけて捜査していたなんて・・・」などと、驚きの声が広がった。実は、「360万円」は「慰謝料や修理費など」なので、時計の金額は不明だ。が、モデルによっては1000万円超もあるロレックスだけに、「300万円超もする高級時計が壊れた」といった誤解(?)も広がり、「300万超のロレックスねぇ。よく買えたなぁ」といった反応も現れた。芸能界などは別にして、周囲のビジネスパーソンや公務員で、「仕事中に300万円超の高級腕時計をつけている人」はどのくらいいるのか。また、「平均的」にはいくらぐらいの腕時計をしているのだろうか。

若手社会人では「15万円以上」は1割以下

大学生向けサイトのマイナビスチューデントが、20〜30代中心の社会人男女500人に対し、「ふだん、仕事に着けていく腕時計の値段」を聞いたところ、最多は、「腕時計は付けない」(34%)だった。概ね3人に1人の若手社会人は、そもそも会社へ行くとき、腕時計をつける習慣がないわけだ。

次いで多かったのが、「1万円〜3万円」(20.6%)、以下、「5000円〜1万円」(11%)、「5000円以下」(10.6%)、「3万円〜5万円」(8.4%)、「5万円〜10万円」(7.2%)、「20万円以上」(5.6%)、「15万円〜20万円」(2.6%)と続く。

どの価格帯から「高級時計」とみなすかは、人それぞれだろうが、たとえば「15万円以上」をつけているのは、全体の1割以下という結果だった(「社会人は、職場にいくらの腕時計を着けていってる?」、2013年10月11日)。対象世代が若い調査ではあるが、「20万円以上」の回答者の中には、果たして「300万円超」の人もいるのだろうか。

「時計に恥じないステキな自分になるため」90万円のロレックス購入

上記記事がまとめサイトに転載されると、社会人の「腕時計事情」について、さまざまな意見が寄せられた。「スマホがあるから不要」と、最近の若者らしい(?)意見もあれば、「ドンキで買った980円のやつ」という人もいる。「数十万の時計をしている奴は、見掛け倒しの奴にしか見えん」と、「高級ブランドに頼るのはみっともない」という意見もあった。

一方、ある程度、質の良い「小物」を身に付けることで、ビジネスパーソンとしての意識が変わる、との見方もある。腕時計や革小物などを扱う、メンズブランドショップ「GRAGG」が運営するコンテンツサイトには、「こんなにあった!ビジネスマンが腕時計を身に着けるメリット【仕事への意識編】(2014年5月10日)」と題した記事が配信されていた。

記事によると、腕時計をつけることで、「出掛ける時、気分を仕事モードに切り替えられる」ほか、「スマホで時間を確認するより、腕時計で確認する方が、より『時間の経過』を意識することができる」そうだ。ビジネスで成功した、経営者や著名人の中には、「若い頃に背伸びして上質な腕時計を身に着けたことで、それに相応しい仕事が出来るように頑張れた」と話す人も多いという。「身に付けるものが、仕事への意識を変える」ケースも、あるのかもしれない。

女性向けの掲示板サイト、ガールズちゃんねるでは、「起業した時に少し無理して買った、ロレックスをつけています。高価な物なので、仕事頑張ろう!って思います」「90万ぐらいのロレックスつけてます。ただのファッションだけでなく、この時計に恥じないステキな持ち主になろうと日々努力しています」との意見もあった。(KH)