創価大学ホームページより

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 毎年、正月の風物詩といえば箱根駅伝だ。91回目を迎える2015年は、初出場・創価大学が注目されている。1972年の創部以来43年目の快挙ということもあって同大OB・OGはもとより経営母体ともいうべき創価学会に属する学会員たちからも熱烈なる声援を受けての出場だ。

 ある創価大OGの40代女性は、「地元学会員さんたちとしっかり連携を取り、2日は1区のスタート地点大手町に声援を送りに行く」と話す。陸上部OGでもない彼女が、同大OB・OGでもない創価学会員たちを連れて箱根に向かうのは、ひとえに「母校・創大と大学創立に携わった学会員さんたちに後輩たちの晴れ姿を見せたい」との思いに尽きる。

マイクロバスを貸し切って大手町に学会員が応援に

 こうした動きは全国の創価大学OB・OGの間で活発で、関西地方のある創価学会の組織では同大OB・OGらが中心となりマイクロバスを借り切ったり、旅行社に交渉して「創価大箱根駅伝ツアー」を独自に組んで箱根に向かったという。

「スポーツは結果ではない。これを通して何を得たかが大事。私の属する学会の地区(註:創価学会組織の活動上の単位)では、箱根駅伝で創大陸上部員たちが今後の人生の糧になる結果が得られるよう必死に祈りました」(創価大OG女性)

 そんな学会員たちの声援を受けて力走する同大陸上部は、スタート地点である東京・大手町から鶴見までの1区を走るのは3年生キャプテン・山口修平だ。赤と青のストライプに黄色の「創価大学」の文字が赤・青・黄揃った“3色”。大学がルーツとする創価学会カラーである“三色旗”と重なる。

 報道では沿道を“三色旗”で埋め尽くすのではとの予測もあった。だが前述OGによると、「関東在住のOBらから出場校すべての応援の公平性を期す目的から行き過ぎた応援で迷惑をかけないように」との連絡があり、“3色旗”は封印。代わりに大学のブランディングカラーである青色に白で大学名が書かれた幟や読売新聞社や報知新聞社などの共催元などのマスコミ各社が配る旗を手に声援を送る。

行き過ぎた応援で注意される一幕も

 テレビ中継ではピンク色のジャケットを着た男性が、青地に白色で大学名を書いた紙をカメラ目線でかざした後、「年男↓」という紙を再びふりかざし大会役員から注意される一幕もあった。

「もし本当に創価大を応援している人なら大学OGとして恥ずかしい限り。創価大を応援している者としてお詫びします」(先述の創価大OG)

 初出場ながら力走をみせる創価大だが、応援するのは「すべての創価大OB・OG」だ。創価大は創価学会員が多いが、司法試験や外交官試験、教員採用試験の実績から非学会員も数多い。そうしたOB・OGのほか、創価学会とはもう縁のない「元学会員創価大OB・OG」もいる。

「信心、活動をしているOB・OGも、信仰においては、必ずしも一枚岩ではない現実もある。そうしたなかで今はもう学会を離れた人、信心していない創価大OB・OGもひとつになれるのがこの箱根駅伝。立ち居地は違えど母校への愛校心に寸分の違いはありません」(冒頭部で紹介した創価大OG)

 初出場したことで、十分な効果は発揮したということか。この快挙に、立ち位置問わず創価大OB・OGは皆、歓喜に沸いている。

(取材・文/秋山謙一郎)