人気急上昇の「ふるさと納税」、何がトクなのか?
消費税増税による生活防衛のためか、今年は「ふるさと納税」がふるさと納税「元年」ともいえる広がりを見せている。年間300万円以上をふるさと納税し、食生活のすべてをその特典でまかなうわが家の実体験を踏まえ、その魅力を紹介していこう。
ふるさと納税とは、納税者が居住地以外の都道府県や市区町村に寄付をすると、寄付のうちの2000円を超える部分について一定の上限まで所得税・住民税から全額控除され、なおかつふるさと納税した多くの自治体から特産品が届く制度だ。
この制度は2008年、都市部と地方の自治体の税収格差是正を目的に創設され、東日本大震災で被災した自治体に、これを活用して多額の寄付金が寄せられたことで浸透した。
寄付金額に応じて特典を設けている自治体のホームページを見ると、野菜や果物、米、肉、海産物、飲料、工芸品など、地域の特産品がずらりと並び、さながらお取り寄せグルメだ。
例えば茨城県石岡市に1万円を寄付すると、地元銘柄豚「弓豚」の焼き肉・しゃぶしゃぶ用2キログラムや巨峰4キログラム(約7房)など50品目以上から1つが選べる。今年度の受け付けは終了しているが、長野県阿南町は太っ腹で、1万円の寄付で20キログラムもの米が送られてくる。
わが家も参考にしたサイト「ふるさとチョイス」では、特産品別に自治体が紹介されているので、欲しいものから寄付先を選んでもいいだろう。
ふるさと納税に力を入れる自治体では競うように特典を充実させ、これまで年1回としていた特典送付の回数制限を撤廃するところも出てきている。しかも特典は自治体のPRも兼ねているため、味や品質などのレベルが高いのも選ぶ側にとっては嬉しい。
最近はクレジットカード決済を導入する自治体も増え、「ヤフー公金支払い」のサイトで手続きが完了するところもある。例えば、10万円でポイントが2%還元されるカード(リクルートカードプラス)であれば、それだけで2000円分になる。
また、ヤフー公金支払いで1万円寄付すると「Tポイント」2000円相当がもらえるのが千葉県市川市。このTポイントを使い、さらに違う自治体に寄付をするという裏技もある。
良いことだらけのふるさと納税だが、注意点が3つある。その1つ目は、寄付金の上限額だ。
ふるさと納税では、複数の自治体に寄付しても、同じ自治体に複数回寄付しても、一定額までの自己負担額は2000円だけだが、控除額を超えた分は持ち出しになる。そのため、まずは自分の上限金額を把握し、その範囲内で寄付することが重要。自己負担額が2000円となる寄付金額の目安は、総務省のふるさと納税に関するサイトを参考にしてほしい。寄付金額の一覧や控除額計算シミュレーションがあり、給与収入や家族構成別の寄付金額の目安がわかる。
それによるとサラリーマンと専業主婦の妻、高校生の子1人という家庭で給与収入700万円の場合、年間約4万4000円が全額控除。給与収入1000万円では8万5000円、2000万円では27万2000円と、所得が上がるにつれ控除額も大きくなる。
2つ目は、お目当ての特産品の配布が終了していたり、商品が変更になっていたりするケースがあること。申し込む前に自治体のホームページなどでチェックが必要だ。
3つ目が一番重要で、1月1日から12月31日に寄付した分についての確定申告が翌春必要になることだ。
特典をもらう時点では自己負担で、確定申告をして初めて税金が還付・減額される。自治体から送られてくる寄付金受領証明書や、払い込んだ控えはきちんと保管しておこう。
(ふるさと納税の達人 金森重樹 構成=勝亦理美)