釣り竿でカメラを海に投げ入れる

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当たり前だが、釣りざおはエサの付いた仕掛けを投げ込み、引き上げるもの。でも、それが仕掛けではなく、カメラだとしたら……。

今どきのカメラは防水仕様が珍しくなく、コンパクトでかつ比較的安価に手に入る。それならば、「防水カメラを釣り糸に結んで、海に投げ入れて、動画撮影したらおもしろいのでは」とふと思いついた。そこで論より証拠、実行してみることに。

使用するのは、リールの付いたふつうの投げ釣りざお。その釣り糸を防水カメラのストラップを通す穴にしっかり結ぶ。これをちゃんとしないと、投げたはいいがもう二度と戻ってこない。まぁ、日頃釣りをしている人なら問題ないが、そうではなく、釣り糸の結び方をまったく知らない人はちょっと厳しいかも。

つぎに、カメラ。使用したのは、以前紹介したことのあるコンパクトカメラ「DSC880DW」(ケンコートキナー)。超広角14mmレンズを搭載し、遠近感の誇張がかなり強烈で、非日常的な写真が撮れるおもしろいカメラだ。これを今回は写真ではなく、動画モードに設定し、録画スタートボタンを押す。

これで準備完了。とその前に、ぜひとも確認してもらいたいのは、使用するカメラが「何メートル防水仕様」なのかということ。ちなみに、「DSC880DW」は3メートル防水。なので、沖の水深が深いエリアには投げ込めないということ。これ、とっても大事なので要チェック。

さて、いよいよ投げ入れ開始。カメラをさおで持ち上げると、クルクル回転しながら、宙づりになる。そして、いつも仕掛けを投げるように、さおを振り降ろして、目標ポイントに投入。すると、重さ的にもちょうどよかったせいか、スムーズに投げ入れることができた。

ちなみに当日来た場所は、東京湾沿いで釣りができる青海南ふ頭公園(江東区青海2丁目)。正直、水の中を撮影するには透明度がよくないのであまり適していないが、駅から比較的近いし、平日・休日を問わず無料で使える場所なので、お勧めだ。

早速釣り上げて、ではなく、カメラを引き上げて、映っている動画を見てみた。すると、景色がグルグル回っている。
カメラが糸の先で回るので、どうしてそのような動画になる。

世界があちらこちらへとせわしなく動くので、見ていて目が回りそうだ。で、肝心の海の中だが、心配していたとおり、濁った海水ばかりでとくにおもしろいものは映っていない……。と、一瞬、ちらっと横切るものが!
辛うじて一匹、ぼんやりだが魚が映っていた。魚影の濃い場所なのが幸いして、何とか魚を撮ることに成功。もっと魚を撮りたければ、透明度のいい場所を選ぶことが大事だろう。

筆者が今回の撮影で一番面白かったのは、着水した瞬間の音。そう、言うまでもなく、動画カメラは録音もするので、そうした音をしっかり残してくれる。
「ぽちゃっ」
という単純な音だが、まるで「蛙飛び込む水の音」のようで、感動してしまった。

今後は、水のキレイな川へ行って、魚と水の流れを鮮明に撮ってみたいと思う。水中撮影は自ら潜って撮影すべきものだが、釣りざおを使えば、カメラ任せで簡単に撮れるのがうれしい。

オールシーズンできる手軽な水中撮影なので、釣りの合間にあなたもカメラを投げ込んでみてはどうか。
(羽石竜示)


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