八王子、足と長打で郁文館を圧倒 

先発した篠原(八王子)

 八王子といえば、強打のイメージがあるが、現在、走れるチームへ変身中だ。「もともと打てるチームではなかった。足を絡めるチームへ、意識を高めていかないと」と、八王子の安藤徳明監督。日頃のフリーバッティングの時から、ネットで仕切って走塁練習を同時に行うなど、走る感覚を磨いていた。

 この試合、八王子が新たに取り組んでいる走塁プレーが威力を発揮する一方で、パワーのある打撃もみせつけた。1回表2番石井雄也が死球で出塁すると、すかさず盗塁。続く佐々木翼のセンターフライの間に三塁へ進み、続く4番高橋啓太は四球で二死一、三塁となった場面で高橋は盗塁を敢行。これが相手捕手の暴投を誘い、石井が返ってまず1点。

 2回表には、ヒットで出塁した富田聖太郎、上西裕介がともに盗塁。この試合先発登板の篠原大輝の左前安打で1点を追加した。加えてこの回は、2番石井、6番菅原が本塁打を放つなどして、一気に7点を追加して、勝負を決定づけた。

 さらに4回表では、前の打席で本塁打を打ったこの回先頭の石井がバントを試みるなど、攻撃の手を緩めない。 もっとも石井は、バントはうまくいかなかったものの、ライトに二塁打を放ち、富田の中前安打で一気にホームインするなど、郁文館先発の大島 良介を打ち崩し、この回に4点を加えた。

 

負けはしたが大会を通じて成長を見せた大島(郁文館)

 八王子の先発は背番号20の篠原。「先に点を与えなければ、自分たちの野球ができる。自分たちのリズムで野球ができるよう、コントロールのいい投手を先に起用している」と八王子の安藤監督。

 篠原はコーナーを丁寧に投げて序盤3回を抑えたものの、11点差がついた4回裏に郁文館の2番市毛聡一の二塁打や、奥田祐太、南波光希、山口拓海にヒットが出て2点を奪われた。

 それでも八王子は5回表に石井が単打で出塁すると、すかさず盗塁し、高橋の左前安打でそつなく1点を奪い、5回コールドゲームが成立する10点差となった。5回裏は背番号1の左腕・横森拓也が2四死球は出したものの無得点に抑え、12−2、5回コールドで、八王子が圧勝した。

 八王子は攻撃力に厚みを増した。さらに秋季都大会直前に負傷し、欠場が続いている攻守の要である評判の好捕手・柴田紘佑の復帰も近い。戦力も整いつつあり、今後とも目が離せないチームになりつつある。

 一方の郁文館は、八王子に力負けしたが、4回に2点を奪うなど意地はみせた。ブロック予選から含め、5試合を戦った郁文館。この試合はうたれてしまったが2年生左腕・大島などの新戦力も台頭してきた。この経験を夏にどう生かしていくのか。夏の郁文館も注目だ。

(文=大島 裕史)