バントはせず強攻策で10得点!都立片倉がシード校・東海大高輪台を破る! 

得点を入れて喜ぶ片倉ナイン

 都立の中でも強豪と注目される都立片倉。今年のチームを宮本秀樹監督は「チーム力はベスト4入りした2012年より上ですよ」と評する。相手は昨秋ベスト4の東海大高輪台。2回裏に敵失で先制したものの、3回表に3番熊谷 力の中超え二塁打で2点を先制、さらに押し出しで、1対3でリードを許す。都立片倉は先発の矢ケ崎 光(2年)を諦め、2番手に馬場 岳大(2年)を投入する。

 打線は3回に反撃。本来は捕手だが、打撃の良さを評価されて3番に入る高橋 城二(2年)の適時打で、1点を返し、4回裏は無死一、二塁。7番早野 佑太(3年)が打席に立つ。1点差を追う試合展開で、打者は7番。犠打という選択肢になるが、宮本監督は犠打の指示はしなかった。「東海大高輪台さんはそう思っているでしょう。でも下手に手を打って失敗したことが何度もあるので、格上さん相手には相手を驚かす策をしなければならない」その早野が中越え二塁打。二者生還し、逆転に成功。見事にその策が成功した。早野は背番号20。大会直前の練習試合で、好調をキープしていたので、宮本監督は起用を決めた。 

 「良い流れは大事にしようと思っていたので」調子の良い選手はどんどん起用する。それが宮本監督の手法だ。勢いに乗った打線は3つの押し出し、敵失、6番今井 翔太(3年)の適時2点二塁打で一気に8点を入れ、10対3にする。宮本監督は外角の際どい球は手を出さない指示をした。「外角は捨てて、真ん中より来たボールを打ちなさいと指示しました。外角ギリギリにストライクと宣告されたら、投手はナイスピッチング!という気持ちで打席に帰ってこいと。3回の攻撃はしっかりと我慢出来ていたと思います」3回裏の攻撃を評価した。

 

東海大高輪台の主力選手・熊谷力選手

 投げては二番手で登板した馬場が、120キロ中盤の速球、スライダー・カーブを投げ分け、内角を軸にどんどん攻め込み、東海大高輪台打線を抑え込む。馬場は成蹊戦で一気に信頼を掴んだ投手だ。

 この試合はエースの長島 隼輝(3年)が肩の不調により1回限りで降板。2回以降、8回2失点に抑え、勝ち投手になった。自信を付けた馬場は好投を続け、7回表に5番大田原 俊輔(3年)の適時二塁打、7番石井 惇大(3年)の適時打で2点を返されるものの、後続を締めて10対5で東海大高輪台を破り、4回戦進出。シード権を獲得した。

 試合後、宮本監督は「うちはブロック予選から勝ち抜いてきた勢いと自信がある。相手は初戦。その差が出たのではないでしょうか」どんなチームでも初戦は難しい。逆に何度も戦っているチームは勢いもあり、どういう試合展開にしていけばよいのかを選手たちもわかっている。この試合は都立片倉の思い通りの試合が出来たといっていいだろう。

 都立片倉は、昨秋はブロック予選敗退。都立東大和南に3対9で敗れている。「2回に7点を奪われて、今日と同じ試合展開だったんですよね。秋が終わった後、粘っこいチームを目指していこうとやっていきました。だんだん私たちが目指すチームになってきていると思います」

 チーム作りに手ごたえを感じている。今年は投手陣も複数いて、エースが投げられない中でのベスト16入り。活躍する選手が日替わりで、背番号10〜20の選手が活躍している。チーム力がある証拠だろう。次は帝京。今日勝利した自信が帝京戦にも生きてくるか注目をしたい。

(文=河嶋 宗一)