東海大菅生、春を呼ぶ猛攻で5回コールド 

東海大菅生・高橋 優貴投手

  今年の冬、東京は記録的な大雪が降ったが、多摩西部のあきる野市ではまさに豪雪。「3月7日までは、グラウンドが使えませんでした。重機を入れて、やっと除雪しましたが、雪の塊はまだ残っていますよ」と東海大菅生の若林弘泰監督は語る。当然、実戦練習は不足しているが、東海大菅生にとって今年最初の公式戦となるこの試合では、雪の影響を少しも感じさせない攻撃力を見せつけた。

 まず1回裏東海大菅生は、3番勝俣 翔貴、4番冨塚樹也の連続二塁打などで2点を入れると、2回は2番和田浩太朗から8番吉永浩大まで7者連続安打。そのうち、2番和田、4番冨塚、6番仙波敦也、7番小川祐樹は二塁打を記録する猛攻などで一気に7点。3回も1番江藤勇治、5番宮下航の二塁打などで3点、4回も4安打、3四死球などで6点を挙げた。

 淑徳の中倉祐一監督は東海大菅生打線について、「メンタルがきっちりしていて、点差が開いても、手を抜くようなことがなかった」と、舌を巻いた。

 一方、淑徳の先発・林俊輔は、166センチの体を目いっぱい使って力投したが、力の差は歴然としていた。しかも2日前の荒川商業戦で完投したばかり。「うちは彼しかいないので、中1日だけど仕方ない」と中倉監督。淑徳は部員11人ながら、実際にプレーできる選手は10人だけ。2回途中に遊撃手の岩堀良平が投手、林が遊撃手という交代があったものの、東海大菅生の猛攻を止めることはできなかった。

 

二塁打1本を含む、2安打の活躍をみせた矢口 凌太郎

  東海大菅生は、投げては先発の高橋 優貴が力のあるボールで4回を被安打1に抑え、5回は辻佳昴が2本のヒットを許したものの、3つの三振を奪い、18−0、5回コールド。東海大菅生が大勝した。

 ただその中で、淑徳の8番矢口凌太郎は二塁打1本を含む、2安打を記録する活躍をみせた。「10人のうちの10番目の選手でしたが、ブロック予選でもサヨナラヒットを打つなど、当たっています」と、淑徳の中倉監督は語る。8番打者ながら、最も調子がいい選手である。

 こうしたラッキーボーイが出てくるということは、まだ伸びしろがあるということ。東海大菅生には大敗したものの、淑徳はたった10人でブロック予選を勝ち抜き、都大会でも1回戦を勝つなど、今後への自信も得た。

 淑徳は、上位校とはまだ差があるが、そうでないチームには、十分に対抗できる。それだけに「まずはやるべきことを、しっかりやっていきたい」と、淑徳の中倉監督が語るように、背伸びしないで一歩一歩階段を上っていくしかない。

(文=大島裕史)