本塁打を打った帝京・笠井

帝京、不満が残るコールド発進

 終わってみれば8対0の7回コールド。専修大附の小澤 正夫監督も、「率直に言って、力負けです」と言うなど、帝京の大勝であったが、帝京の前田 三夫監督は、「もう少しいいゲームがしたかった」と語るように、帝京にすれば、不満の残る試合であった。

 この試合の注目は、秋季大会はエース・清水 昇をケガで欠き、日大二に3対13の6回コールドで敗れた帝京が、どこまでチームを立て直してきたかということ。対する専修大附は前身の京王商が、戦時中の1942年に開催された、幻の甲子園大会と呼ばれた全国大会に出場したことがある伝統校で、昨年の夏は西東京大会のベスト8に進出している。

 試合は1回表、帝京が無死一、二塁から3番笠井がレフトオーバーの本塁打を放ち、いきなり3点を先制。二死後、内野安打の浜田 弘幸を一塁に置いて、7番安竹 靖晃がレストフェンス直撃の二塁打を打って、初回だけで4点を先取。強い時代の帝京が戻ってきたかのような猛攻をみせた。

 ところが2回以降、身長163センチと小柄な専修大附の左腕辻 太郎のチェンジアップに苦しみ、追加点がなかなか奪えない。

 

専大附属・辻

 一方帝京の清水は、時折素晴らしい球を投げるものの、それが続かない。3回裏には、二死満塁のピンチを迎えたが、エースで4番の辻を左飛に打ち取り切り抜けた。5回裏には、8番村山 大斗の四球と、1番熱田 隆介のライトオーバーの二塁打で一死二、三塁。続く中村 雄斗の三ゴロで村山は本塁に突っ込み封殺されるなど、専修大附はあと一歩のところで、清水を崩せない。

「膝から下を切って、高いボールを狙わせたが、うまくいかなかった」と専大附属の小澤監督は言う。 結局6回表にやや疲れがみえ始めた専修大附の辻から、3安打、1四球、それに暴投によるエラーもあって、帝京は一気に3点を奪い、7回にも死球で出た中道 大波を浜田が中前安打で返し、8対0、7回コールドが成立した。

 コールド負けを喫した専修大附であるが、1番の熱田は3安打、1死球の猛打に、安定した守備もみせる活躍が光った。小澤監督も信頼する、専修大附の切り込み隊長だ。夏に向けては「まず守りを鍛えたい」と小澤監督。

 秋季大会で衝撃のコールド負けを喫した帝京の前田監督は、「今度は頑張ろうという結束。そういう気持ちになるようやってきた」と語っているが、現状については「気持ちが緩い」と、厳しい見方だ。選手の素材はいいだけに、それをいかにチームの力に昇華していくか。今後の戦いが注目される。

(文=大島 裕史)