守護神という自覚が必要な4年目の大石達也投手
2014年というシーズンは、大石達也投手にとっては背水とも言えるシーズンになる。来季こそは覚醒しなければならない選手として期待をしたいという意味も込め、筆者は今年最後に書く記事の対象として大石投手を選んだ。来季、早くも大石投手にとっては4年目のシーズンとなる。大卒でライオンズに入り、来年のクライマックスシリーズには26歳になる。野球選手として最高潮となれる年齢が27歳と言われているだけに、その年齢で活躍するためにも大石投手にとって来季は非常に重要な一年となるだろう。
もう大石投手はストレートとフォークボールだけでも良いのではないだろうか。これまではスライダーで交わすような姿を見せることも多かったわけだが、リリーフに徹している今、大魔神佐々木主浩投手のようにストレートとフォークボールだけで勝負するピッチャーになっても良い頃だと思う。そしてそのようにスタイルを明確に定めることができれば、大石投手自身もっと迷いなくマウンドで打者と対峙できるようになるはずだ。以前の記事でも書いた通り、今季までの大石投手はまだまだマウンドで迷いを感じさせていた。そのために打たれた後でも悔しがるのではなく、呆然とする姿がよく見かけられた。悔しがるためには、できる限りのトレーニングとできる限りのパフォーマンスを実現しなければならない。それができなければ選手というのは、決して悔しがることはできないはずなのだ。できることをすべてやって敗れたからこそ悔しく感じ、次はもっとレベルアップしてその打者を打ち取りたいと闘志を燃やせるのだ。
だが今季までの大石投手はまだまだやり切れていなかった。打者と対峙する以前に、自分自身のフォームやボールと対峙していた。だからこそ打たれても本気で悔しがる姿や、次に繋がる闘志をファンに対し明確に見せることができなかった。やり切れていなかったからこそ、打たれても本気で悔しがるまでに至らなかったのだ。このような姿は今季を最後にしなければいけない。来季チームは守護神候補としてボウデン投手を獲得したわけだが、大石投手は守護神の座を簡単にボウデン投手に譲ってしまってはいけない。2月から始まる春季キャンプにしても守護神になりたいと思いながら挑むのではなく、もう守護神であると自覚した上で挑まなければならない。ドラフトで6球団が競合しての1位指名選手だったのだから、それだけの闘志と責任感をそろそろ見せなければならない。
26歳ともなれば、もう純粋に若手としては見てもらえない。今後は中堅選手として若手投手を引っ張っていかなければならないのが大石投手の年齢だ。そしてそれをするためには、やはり大石投手自身が主力級としての実績を残していく必要がある。つまり一言で言えばセーブ王として輝くということだ。そのためには大石投手には40Sという数字を意識してもらいたい。何故なら2005年以降パ・リーグでセーブ王となった投手の最多セーブ数が2006年に39Sを挙げたファイターズマイケル中村投手が最多であるためだ。大石投手には来季は、そのパ・リーグ記録を上回る活躍を見せてもらいたい。
40Sと言えば、優勝チームの約半数の勝利でセーブをマークするということだ。決して簡単なことではないし、DH制が採用されているパ・リーグでは困難だとも言える数字だ。だが大石投手にはそれを目指せるだけのポテンシャルがあるのだ。球速云々ではない。大学時代に神宮球場見せたあの快速球。抜群の伸びを見せたあのボールを再び投げることさえできれば、40Sを目指すことは十分に可能なのだ。だが過去3年はそれができずに苦しんでいる。新たな投球フォームで満足行くパフォーマンスができないのであれば、ここは原点に戻り、2010年早稲田時代の投球フォームに一度戻してみるというのも良策となるのではないだろうか。大石投手はこの冬を利用し、大学時代には何故あのボールを投げられていたのか。そして今は何故あのボールを投げることができないのか、ということを正確に掴み取らなければならない。
単純に見るだけでも早稲田時代のモーションと2013年のモーションはまったく別物だ。もちろん何かを意図してのものであることは間違いないわけだが、しかしそれにしても今季の大石投手のモーションには余分と感じられる動作も多かった。たがそれはテイクバックの形などのフォームの問題ではない。フォームは言うなればどのような形でもいいのだ。だがモーションに関して言えば好投手が共通して持っているメカニズムを体得しなければならない。まったく異なるフォームで投げている好投手たちには、必ずモーションには共通点が存在しているのだ。大石投手には早くその共通点に気付き、早稲田三人衆の中で来季は頭1つどころか、3つ4つ飛び抜ける投手へと覚醒していってもらいたい。
アマチュア時代の大石投手の投手経験は決して豊富ではなかった。特に早稲田時代には自らの意向に反し、監督は大石投手を内野手や捕手として起用したいと考えていた。そのためにマウンドでの場数を踏むこともできなかったのだ。その経験不足をこの3年で賄ったと考えれば、話はシンプルに済ませることもできるだろう。もはやこの3年間は過去に過ぎない。結果を残せずに終わったのだからそれをいつまでも引きずる必要はない。大学時代に経験できなかった場数をこの3年間で踏めたと考え、大石投手には来季はいよいよ蛹から蝶へと変身を遂げてもらいたい。「メタモルフォーゼ(変形する)」という言葉こそが、来季の大石投手には最も相応しいと筆者は考え、来季の大石投手に対し非常に大きな期待を寄せながら、今年最後の記事を締めくくりたいと思う。
今年は297記事を書き、2009年以降合計1549記事となりました。きっとすべての記事を読んでくださっている方もいらっしゃるのだと思います。まだまだ拙い観察眼での記事も多い中、日々ご愛読頂き本当にありがとうございます。来年も1月1日からどんどん記事を書いていく心積もりでおります。皆さまもお忙しいとは思いますが、お時間が許せば来年もまた日刊埼玉西武ライオンズにお付き合いください。
本年もご愛読頂き本当にありがとうございました。心より感謝いたしております。皆さまもどうぞ良い新年をお迎えください。
だが今季までの大石投手はまだまだやり切れていなかった。打者と対峙する以前に、自分自身のフォームやボールと対峙していた。だからこそ打たれても本気で悔しがる姿や、次に繋がる闘志をファンに対し明確に見せることができなかった。やり切れていなかったからこそ、打たれても本気で悔しがるまでに至らなかったのだ。このような姿は今季を最後にしなければいけない。来季チームは守護神候補としてボウデン投手を獲得したわけだが、大石投手は守護神の座を簡単にボウデン投手に譲ってしまってはいけない。2月から始まる春季キャンプにしても守護神になりたいと思いながら挑むのではなく、もう守護神であると自覚した上で挑まなければならない。ドラフトで6球団が競合しての1位指名選手だったのだから、それだけの闘志と責任感をそろそろ見せなければならない。
26歳ともなれば、もう純粋に若手としては見てもらえない。今後は中堅選手として若手投手を引っ張っていかなければならないのが大石投手の年齢だ。そしてそれをするためには、やはり大石投手自身が主力級としての実績を残していく必要がある。つまり一言で言えばセーブ王として輝くということだ。そのためには大石投手には40Sという数字を意識してもらいたい。何故なら2005年以降パ・リーグでセーブ王となった投手の最多セーブ数が2006年に39Sを挙げたファイターズマイケル中村投手が最多であるためだ。大石投手には来季は、そのパ・リーグ記録を上回る活躍を見せてもらいたい。
40Sと言えば、優勝チームの約半数の勝利でセーブをマークするということだ。決して簡単なことではないし、DH制が採用されているパ・リーグでは困難だとも言える数字だ。だが大石投手にはそれを目指せるだけのポテンシャルがあるのだ。球速云々ではない。大学時代に神宮球場見せたあの快速球。抜群の伸びを見せたあのボールを再び投げることさえできれば、40Sを目指すことは十分に可能なのだ。だが過去3年はそれができずに苦しんでいる。新たな投球フォームで満足行くパフォーマンスができないのであれば、ここは原点に戻り、2010年早稲田時代の投球フォームに一度戻してみるというのも良策となるのではないだろうか。大石投手はこの冬を利用し、大学時代には何故あのボールを投げられていたのか。そして今は何故あのボールを投げることができないのか、ということを正確に掴み取らなければならない。
単純に見るだけでも早稲田時代のモーションと2013年のモーションはまったく別物だ。もちろん何かを意図してのものであることは間違いないわけだが、しかしそれにしても今季の大石投手のモーションには余分と感じられる動作も多かった。たがそれはテイクバックの形などのフォームの問題ではない。フォームは言うなればどのような形でもいいのだ。だがモーションに関して言えば好投手が共通して持っているメカニズムを体得しなければならない。まったく異なるフォームで投げている好投手たちには、必ずモーションには共通点が存在しているのだ。大石投手には早くその共通点に気付き、早稲田三人衆の中で来季は頭1つどころか、3つ4つ飛び抜ける投手へと覚醒していってもらいたい。
アマチュア時代の大石投手の投手経験は決して豊富ではなかった。特に早稲田時代には自らの意向に反し、監督は大石投手を内野手や捕手として起用したいと考えていた。そのためにマウンドでの場数を踏むこともできなかったのだ。その経験不足をこの3年で賄ったと考えれば、話はシンプルに済ませることもできるだろう。もはやこの3年間は過去に過ぎない。結果を残せずに終わったのだからそれをいつまでも引きずる必要はない。大学時代に経験できなかった場数をこの3年間で踏めたと考え、大石投手には来季はいよいよ蛹から蝶へと変身を遂げてもらいたい。「メタモルフォーゼ(変形する)」という言葉こそが、来季の大石投手には最も相応しいと筆者は考え、来季の大石投手に対し非常に大きな期待を寄せながら、今年最後の記事を締めくくりたいと思う。
今年は297記事を書き、2009年以降合計1549記事となりました。きっとすべての記事を読んでくださっている方もいらっしゃるのだと思います。まだまだ拙い観察眼での記事も多い中、日々ご愛読頂き本当にありがとうございます。来年も1月1日からどんどん記事を書いていく心積もりでおります。皆さまもお忙しいとは思いますが、お時間が許せば来年もまた日刊埼玉西武ライオンズにお付き合いください。
本年もご愛読頂き本当にありがとうございました。心より感謝いたしております。皆さまもどうぞ良い新年をお迎えください。