釧路明輝ナイン

選手11人で戦った初の全道大会

部員11人で初の全道大会に出場した釧路明輝だったが、昨秋準優勝の駒大苫小牧の0対8。7回コールドゲームで完敗に終わった。「力の差はありました」と山本武彦監督が淡々と語ったように、ゲームの流れを立ち上がりから支配されて、失点を重ねた。攻撃では、7イニング中5イニングで走者を出したが、駒大苫小牧の投手陣を崩せず、得点を挙げることができなかった。キャッチャーで主将の堀江雄斗(2年)は、「(駒大苫小牧は)バッティングが凄かった。チャンスでしっかり捕えてくる。パワーも全然違いました。自分たちももっと力をつけて、バットを振れるようになりたい」とマスク越しに力の差を実感していた。

初めての札幌での公式戦。山本監督は、「緊張はやっぱりするので、絶対にリラックス(しようと)するな。今日はコチコチになってやれ。それでエラーが出ても経験になるから」と選手に話して試合に臨んだという。言葉の通り、試合前のノックから、選手の硬さは否めない。立ち上がりの1点目と3点目は、内野手のエラーによるものだった。さらにピンチは続く。大量失点に繋がってもおかしくない。

しかし一つのプレーがムードを変える。駒大苫小牧の7番安田大将(1年)の1球目がセカンドゴロになり、ダブルプレーを取った場面だ。ピンチを一瞬で凌ぎ、緊張していた選手の表情がガラッと変わった。「6点から7点くらい取られるパターン。それがゲッツーで凌いでベンチに帰ってきた。大したものです。これはおもしろいなと思いました」と山本監督。堀江主将も、「リズムが良くなった」と大きなプレーだったことを話した。

2回以降は無失策。最終的には打たれたが、先発した澤田慎太朗(1年)も与えた四球は1つ(死球は3)だけで、テンポの良いピッチングを見せた。「今度当たった時にはこう(いう試合に)はならないというかすかな光が見えた試合です」と収穫を口にした山本監督。さらに、「今までは全道に出るためのチーム作りだった。これからは、次のステージに上がるために相当な覚悟を持ってほしい」とさらなるチームの成長へ目標を語った。

2007年に釧路北、釧路西、釧路星園の3校が統合されて開校した釧路明輝。この夏は釧根支部大会を初めて勝ち抜き、北北海道大会まで進んだ。そして秋は全道初出場。3年生が抜けて選手は11人。「今は1年生が3人しかいないので、来年入学する次の1年生を(野球部に)勧誘したい」と堀江主将はもう一つの目標を話す。

数字上は0対8。でも一つ一つのプレー、内容、選手の表情に魅了されたゲームだった。

(文=編集部)