横浜vs日大高 横浜がソツのない攻撃で日大を下し、夏秋連覇!
伊藤将司(横浜)
迎えた神奈川大会決勝戦。平日だが、神奈川の高校野球ファンはそんなの関係ない。ネット裏は大勢の観客が埋めつくされていた。決勝に進出の日大高は平日だがブラスバンド、チアガールを引き連れるほどの熱の入れようである。一塁側スタンドは夏の雰囲気と同様であった
関東大会出場が決まった決勝戦であるので、エースを登板させる必要性は特にない。だが横浜はエース伊藤 将司が登板。日大高は背番号24の右サイドの中村雅であった。
先制したのは横浜だ。5番伊藤の死球、6番根本 耕太(2年)のプッシュバントで、無死一、ニ塁。根本は犠打が上手く、いろいろなバリエーションで仕掛けられる。横浜の犠打職人である。7番須澤 柊太(2年)の犠打で一死ニ、三塁のチャンスをつくり、8番山田 知樹(1年)のスクイズ犠打で1点を先制。9番倉嶋 啓太(1年)の四球で、二死一、三塁。1番川口 凌(2年)の右中間へ落ちる二塁打で三塁走者が生還し、2対0。
さらに4回表には二死二塁から再び1番川口がライトの頭を超える三塁打となり、倉嶋が生還し、3対0。良いペースで試合が進んでいた。
7回裏、日大高は5番山梨が一塁ゴロ。これが一、二塁間へ転がるゴロとなり、7番竹村が右前適時打を放ち、日大高が1点を返す。一死一塁の場面で、バッテリーミスで一死二塁。8番川口が四球で一死一、二塁。ここで好投の伊藤は降板。2番手に小田が登板。伊藤は一塁へ。9番大貫は四球で一死満塁のチャンスで、再び伊藤がマウンドに上る。1番池谷は投前併殺に打ち取り、ピンチを切り抜ける。
8回表、一死一、三塁のチャンスを作り、根本のスクイズで1点を追加。本当に根本はスクイズがうまい。ここぞという場面でしっかりと仕事ができる選手がいるのは大きな強みである。
場内行進する横浜ナイン
そして9回裏、日大高は一死二塁から8番川口が高めの直球を叩いて、左前二塁打を打ち、1点を返し、4対2の2点差としたが、後続を抑えられ、試合終了。横浜が優勝に輝いた。東海大相模、慶應義塾、横浜隼人など強豪が揃うブロックに入った。正捕手の高井 大地、二塁手の松崎 健造が故障で、フル出場ができない。二人とも野球を知っている選手で、高井は伊藤の持ち味を引き出すのがうまい緻密なリード、松崎は野手に対し、適切な指示を送り、選手として攻守に堅実なプレーを見せる。彼らのような選手が欠くのは、横浜にとっては痛手だったと思うが、粘り強い戦いを見せていた。
今日の横浜は2本の適時打を放った川口と得点につながる犠打とスクイズを決める犠打を行なった根本がヒーローではないだろうか。高濱 祐仁、浅間 大基が注目されるが、根本は犠打技術だけではなく、堅実な二塁守備、守備範囲の広い外野守備もある。こんな良い野球選手はなかなかいない。4対2と苦しい試合だったが、このように勝てるのはどんな場面でも小技をしっかりと出来る選手が揃っている。
日大高も全部員27人が小所帯のチームの中、主将で二塁を守る佐藤秀がナインをまとめ、試合に出場する1年生の選手たちの働きも大きかった。ポジショニング、カバーリングなど細かなところをしっかりと出来ていたチームで、今後の伸びしろを感じさせるチームだった。
2チームは10月26日から開幕の第66回秋季関東地区高等学校野球大会に出場。目標の選抜へ戦い抜く。
(文=河嶋 宗一)