先日、レスリングが五輪競技から除外されるというニュースが日本全国を駆け巡った。レスリングは古代五輪の中心的な競技であり、まさか除外されるとは──。というのが、日本での一般的な報道だった。
 
日本はレスリング大国であり、メダリストも多く輩出してきた。日本で五輪報道を見ていると、レスリングがものすごく盛り上がっているように感じ、まさかなくなるわけはないという安心感を持っていたことで、ショックが増大しているのだろう。けれど、実際はそれほど重要な競技ではない、と判断されたのだ。
  
僕個人として、レスリングのありなしを言うつもりはない。しかし今回のことで改めて、日本社会、日本文化の弱点というものを感じてしまった。やはりこの時代になっても、国際的な視点がまったくないのだ。海外サッカー選手の報道にしても、WBCの盛り上げにしても、すべてドメスティックで完結してしまう、させてしまう。
 
今回のレスリングや、W杯招致におけるロビー活動の稚拙さ。IOCやFIFAがどういう団体なのか、我々はちゃんと理解できているのだろうか。良い人だと思って暢気にしていたら、いつの間にかハシゴを外される。たくさんの思惑が渦巻く国際社会の中で、いいようにやられていないか。
  
報道だけではない。日本人は外交が下手くそだ。この国の総理大臣を、何人の外国人が知っているだろう。自分たちがポピュラーだと思っているだけで、世界的に見ればまったくポピュラーではない。そんなことのオンパレードな気がするよ。
 
そしてもう一つ、プレゼン力の乏しさも認めざるをえないね。モノは良くても売る力がないんだ。W杯や五輪の招致活動も、他の国に比べればアピールが足りなかった。世界中の誰が都知事の顔を知っているというのか。他国は、例えば大統領がW杯や五輪本大会のスタンドでカメラに抜かれるだろう。アピールはそういうところから始まっている。日本の総理は一度も姿を見せなかったよね。もし行ったとしても、そんなことをしている場合かと、日本人の世論に潰されるのがオチではあるが。
  
ボケッとしているから、寝耳に水でレスリングもなくなる。そればかりか、このままだと本当に島も取られちゃうよ。国際社会の中でどうやって生き残っていくのか。視線を外に、立ち上がれ日本人、だね。