米国の大統領選挙および上下両院選挙について

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米国で大統領選挙の開票が始まると、比較的早い段階から、オバマ氏(民主党)がロムニー氏(共和党)よりも多くの州で、予想外の勝利をあげました。

そして、激戦州の一つであるオハイオ州での勝利に伴ない、オバマ大統領の再選が確実になったと、米メディアが一斉に報じました。

ただし、オバマ氏が当選に必要な過半数の選挙人を確保しても、総得票数ではロムニー氏を下回る可能性が残っており、もしもそれが現実となれば、再選を果たしてもオバマ氏の権威は低下したと、多くの人がみなすことも考えられます。

また、上下両院選挙では、上院での過半数維持に向け、民主党がかなり健闘しているものの、下院では共和党の優勢が続くとみられ、米議会の「ねじれ」状態が維持される可能性がかなり高くなっています。

このことは、「財政の崖」が懸念されるなか、好ましからざることと言えるでしょう。

今回の一連の選挙が、オバマ氏や民主党の大差での勝利でないことは明らかであり、共和党側が次期政権や民主党に妥協する可能性は低いと考えられます。

つまり、米国が団結に向かうとの望みはかなり低くなり、選挙後も分裂状態が続く可能性が高まったとみられることから、今後の成り行きを注意深く見守る必要があります。

目先は、オバマ大統領が誰を財務長官に選ぶのかというのが注目点の一つです。

クリントン政権時代に大統領首席補佐官を務め、2010年には、財政改革に向けての超党派委員会の共同委員長を務めた、アースキン・ボウルズ氏が選ばれるようであれば、「財政の崖」が抑制されるとの期待が高まることでしょう。

なお、米国の先物の夜間取引の状況を見ると、オバマ氏の再選確実との報道を受け、債券については価格がやや上昇したものの、不思議なことに、株価には大きな動きが見られず、まだ結果が判明していなかった数時間前の水準とほとんど変わりませんでした。

このことは、今回の選挙の評価をするには、まだ少し早いということを示唆しているのかもしれません。

(2012年11月7日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、国内外での大きなイベント発生時の臨時レポート「フォローアップ・メモ」からの転載です。

→「フォローアップ・メモ」