この快進撃を、何と説明すればいいのだろう。Ｕ−23日本代表が、ついにベスト４進出を果たした。誰も予想できなかった、ほとんどの人が期待を寄せていなかったチームが、メダル獲得を現実的としている。

　準々決勝を突破したことで、最大数の６試合を戦えることが決まった。エジプト戦で永井と東が負傷交代したように、ケガ人は絶えない。蓄積疲労も相当なものがあるはずだ。フィジカルコンディションは、ベストの状態からどんどんと遠ざかっていく。

　そのなかで、どれだけ力を発揮できるか。局面での寄せで、ゴール前の攻防で、相手を先んじることができるか──それこそが、国際大会を勝ち抜くカギである。最終的な結果がどのようなものになろうとも、今大会が大きな、本当に大きな経験となるのは間違いない。

　エジプト戦の勝因には、ファウル数の少なさをあげたい。グループステージを２勝１分けで乗り切った日本だが、ファウル数はどの試合でも相手を上回っていた。ベスト８進出国のなかでは、セネガルに次ぐ多さだった。

　ファウル数が示唆するのは、ボールへのアプローチの早さや球際の激しさであり、ボール奪取への強い意欲である。責任感の表れ、とも理解できる。ただ、自陣でのもったいないファウルが見受けられていた。
　
　同タイプのサッカーをする国として、しばしば比較の対象となるメキシコは、日本より少ないファウル数でグループステージを突破した。激しさを強みとする韓国は、８強入りした国のなかでもっともファウルが少なかった。激しさと汚さは同じではないし、ファウルに頼らないディフェンスというものもある。身体のサイズで劣るからファウルで止める、という理由も当てはまらない。リスタートの機会をできるだけ与えないためにも、不用意なファウルは避けたかった。

　果たして、エジプト戦の日本は違った。総ファウル数10は、今大会でもっとも少ない。エジプトが前半終了間際に退場者を出したことで、試合運びに余裕が生まれたのは確かだろう。そのうえで、注意深いプレーができていたのだと思う。

　男女が互いに刺激し合う相乗効果で、両チームは揃って４強へ辿り着いた。試合ごとに膨らむ自信を、今後のキャリアを高める確信へ変えるために。

　満足するのはまだ早い。称賛を浴びせるのも、まだ少し、早い。