二人はともに明るい。そして、好き放題しゃべっている。田尾はオーソドックスな見方をしているが、ときどき本音がぽろっと出るのが面白い。
達川はいまだに「広島はわしのもんじゃけぇ」と思っている。周囲もそれを容認しているようで、安心して放言している感じだ。

桑田真澄や矢野燿大、古田敦也のように耳を「おっ」と側だたせるような卓説はない。すでに現場を離れて長く、選手時代の感覚は失せている。しかし、五十代半ばの二人には、これまで培ってきた野球観、そして若いころは隠れていた人間の「地金」が見えはじめている。
これはこれで鑑賞するに足るのではないか。