「個性的な学生の獲得」を目的に導入されたAO入試であるが、大学生の学力低下の一因ともされている。今後は、「個性」より「学力」重視の傾向が強まっていくのではないだろうか。

昨年の週刊ポスト2月25日号にこんな記事がありました。
「大学への進学率が上がる一方で、底辺校といわれる大学では、学力の低い学生の存在に頭を悩ませている。ある工業系大学で数学の授業を担当する講師のコメント。『微分積分など、高校レベルの学力がない程度ならばまだマシな方です。九九の計算を解かせてみたんですが、全問正解したのは半数以下で仰天しましたよ』」
週刊誌の記事ですから多少は誇張しているのかも知れませんが、大学生の学力低下は教育関係者のみならず企業関係者からも指摘されている。

大学生の学力低下の一因とされているのが、AO入試や推薦入試。少子化に伴う大学受験者数の減少は目覚しく、全国を見渡せば受験者数が入学定員にも満たない大学が珍しくない「大学全入時代」。大学が推薦入試やAO入試によって、早い時期から学生を確保しようとするのはそのためだ。
高校時代の活動や人物像などを評価して、書類審査や面接などで合否を決めるAO入試は、私立大学を中心に導入が進み、その後、国公立大学にも広く導入されるようになった。2009年度の大学入試では4割を超える大学がAO入試を導入した。
しかし、AO入試では基本的に学力試験が課されないために、大学での教育を受けるために基礎学力が備わっていない学生が入学してしまう可能性がある。
このため、文部科学省は基礎学力が備わっているのかを把握するために、大学入試センター試験の結果や高校の調査書の成績をAO入試の出願要件や合否判定に用いることを要請した。この結果、AO入試を廃止したり、定員を減らす大学も出てきている。


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