■2014ロンドン五輪アジア最終予選　日本×シリア　グリーン主審評


「美しい試合だった」
シリアのハンカン監督の言葉通り、コモンセンスある試合だった。


2分、ボールにもいったが、大迫の太ももにも影響したためファウルをとる。4分、ボールにプレーできる範囲外での大迫のチャージをとる。
5分、競り合いでシリア選手が下に入るような形になったが、これはノーファウル。酒井が無理に競ったということか。一方で、あきらかなものはとる。6分の濱田のヘディングは乗るような格好になったためファウル。8分にも空中戦でシリアのファウルをとる。
16分、2分同様のスライディングタックルをした比嘉に注意を与える。

グリーン主審は、そこまで厳しくファウルをとるわけではない。特に、スライディングタックルには寛容で、荒れた試合にならないか不安になったが、的確なファウルの見極め、そして、選手たちがラフなプレーを選ばなかったのも大きい。

35分の大迫にボールを奪われた所を、ユニホームを引っ張って止めたシーンは、カードも注意もなし。カードにもそこまで厳しくないようだ。
51分の大迫のPA内のドリブルは、ボールにプレーできる範囲外でのチャージに見えるが、ファウルを貰いにいったと判断されたのか。とにかく、PA内では簡単にはファウルをとらない。

56分、アフターで鈴木の足を踏むような格好になった鈴木のファウル。79分、ダースに警告。87分、フリーランニングをしようとした大津（の顔）を腕でブロックしたズビダに警告。89分、抜かれた所を倒れてハンドで止めたアルサリフに警告。

グリーン主審は最後まで気を抜かない。90分の永井のカウンターを見極めるための走りも良いし、90+3分、ファウルでカウンターを止めようとした扇原への警告も妥当だ。


いくつか微妙な判定もあったが、審判員が気になることなく試合を見ることができたのではないだろうか。これだけタフで拮抗した試合で、審判員が“消えている”というのは、レフェリングが巧くいったということだろう。なにより、選手たちがタフとラフを履き違えなかった。


とはいえ、いくつか改善をアナウンスしなければいけないシーンもあった。
たとえば、大津に踏みつけられたとシリア選手がアピールしたシーンだ。このような相手を陥れようとするアピールを中東勢はしかけて（2004アジアカップの遠藤もそう）くる。
また、フェアプレー精神からタッチラインに出したボールにプレッシングをかけようとしたり。
この行為に対するハンカン監督の見解を聞き、アジアも徐々に変わりつつあると感じた。


「（プレッシングの件について）この選手に対してわたしも非常に不満に思っている。われわれは日本のことをとても尊敬しているし、日本のサッカーというのはとても近代的でクリーンだ。だから、われわれもそれを目指してこれからも進めていきたいと思っている。帰ったらこの選手に対して注意しなければいけないと思った。われわれも日本と同じように美しいサッカーを続けたいと思う。」



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