左利きでも自由自在。キネクトだから足も使ってキック〈「ライズ オブ ナイトメア」インタビュー後編〉
前編はコチラ
9月8日に発売されたキネクト専用のホラーアドベンチャー『ライズ オブ ナイトメア』。前編で聞いた、ゲームとプレイヤーの間に信頼関係を築いて臨場感を生み出す方法を一から作り上げていく方法から、今回は作品の基調になっているホラーと、個人的にも楽しみにしていた武器を使ったアクションについて聞いています。
――そうして苦労して作り上げた臨場感を、血のたまった便器や死体の内臓に腕を突っ込んで鍵を探させるとか、ためらうようなことに使うのがすごく意地悪でいいですよね。
伊藤 発想がえぐいほうに寄ってますよね。ホラーもいろいろあると思うんですけど、『ライズ オブ ナイトメア』はけっこうネチッとした方だと思います。
――確かにバーンと驚かされるというよりは、じわじわ怖がらされるほうが多いですね。エルンストっていう目が見えないけどすごく強いモンスターが出てくるじゃないですか。居場所がバレると一発で殺されるから、近くにいたらじっとしていないといけない。動きを検知するんじゃなくて、逆に動いてないか見張るためにキネクト使ってるのがすごいなと。
伊藤 コントローラーだったら持ってないときがゼロなんだけど、キネクトだったら自分を消してゼロにはできないですからね。そこも大きな違いだと思います。
――頭をかいただけで検知されて殺されそうになったりして。
伊藤 きっと死ぬんでしょうね。実際そういうときに頭かいたら。
――確かに……。特に気に入っているシーンはありますか?
伊藤 冒頭かな。イヤホンで音楽聞いてると奥さんから話を聞けってすごい勢いで怒られて、ふと横を見るとみんなが「大丈夫かよ」って顔でこっちを見てたりとか。で、部屋から出てみると通路で練習してるバレリーナの足の下をくぐらされたり。むちゃくちゃなところから始まる。
――くぐった後に「やだー」って感じで笑われるのもキツかったです。他にも「俺達レイブ行くんだ」「おっさんはもう歳だから違うよね」って笑うバックパッカーとか通路を譲ったのに舌打ちしていく男性とか、乗り合わせた乗客に嫌な奴が多くて。
伊藤 まあみんなヒドイ目に遭いますから。ホラー映画の定番ですよね。あ、死んじゃうな、この人たちって。
――確かに死亡フラグ立ってました。
伊藤 そういう伏線というか、ホラー映画っぽい遊びもちりばめてます。最初に電車で会った人たちは、全員後で再会するようになってまして。
――バレリーナの姉妹は変わり果てた姿でバレエやってて切なくなりました。参考にしているホラー映画はありますか?
伊藤 プロモーションでよく流してる拷問シーンのあたりは『ホステル』ですよね。他に森をさまようシーンは『ブレアウィッチ・プロジェクト』を参考にしてますし、『死霊のはらわた2』をイメージしているところもあります。他にもいろいろありますよ。場面ごとにちょっとずつ違う体験ができるようになっています。
――なるほど。敵と戦うアクション部分についても聞かせてください。武器もやっぱりジェスチャーからの発想ですか?
伊藤 そうですね。やれることが多すぎても分かりにくくなるので、基本の動作を決めて発展させてます。殴る動作で攻撃するナックル系と、鉄パイプとかナタみたいなものを振り回す打撃系・斬撃系、遠くの敵に投げつけるメスとか試験管とかの投擲系、手を前に出してゴリゴリやるチェーンソウやドリルみたいなものもありますし。あとは大バサミですね。両手を開いたり閉じたりして敵を切り刻む。
――大バサミ楽しいですね。自然に足も動いちゃう。
伊藤 両手を大きく使えるのはキネクトならではですよね。同じ動作でふいごからゲロを飛ばす武器もありますよ。
――ああ、こちらからも飛ばせるんですね。クリーチャーからかけられると画面いっぱい塞がれますけど、質感が妙にリアルで気になってました。
伊藤 画面のこちら側に盛り上がって見えるくらいですよね。エフェクト担当が何回も手直ししてました。あれも手でぬぐう動作をすると早く消えるようにしてます。
――細かい! あえて入れなかった武器はありますか?
伊藤 銃はないですね。旅行先で偶然拾えるようなもんでもないかなと思って。舞台を考えて、拷問部屋に行ったら拾えそうなアイテムにしています。
――手のひらからエネルギー弾を飛ばす武器を公式サイトで見ました。あれは是非使ってみたくて。
伊藤 強いですよ、あれは。やってて気持ちもいいですし。
――最近でも『アイアンマン』が手から何か出してましたし、みんなのあこがれだと思います。
伊藤 細かいところですけど、武器はどちらの手でも拾えます。ぼくは左利きなんですが、左手で拾うとそのまま左で使えるし、ドアも左手で開けられる。固定すると不自由になって突然冷めちゃうんですよね。制限がまったく無いと何をしていいか分からないんでルールは作るんですけど、その枠の中のジェスチャーについてはできる限り拾っています。
――そういえばドアを足で蹴っても開けられるのに驚きました。「乱暴者」という実績も解除される。
伊藤 一度でも足で開けるとクセになりますよね。
――手が武器でふさがってたら足で開けたくなるのが自然だよな、と思ったり。
伊藤 キックのときに画面に出てくる足も、実際に上げたほうの足と一致させてます。キネクトと他のデバイスで大きく違うのは、足が使えるところなんですね。
――確かにwiiやムーブだと手にコントローラーを持ちますね。
伊藤 他のデバイスだと手でスイングして武器を使うから、手だけ使うゲームと思われてるんだけど、移動に足を使うし、キックもできる。ここがやっぱりキネクト専用じゃないとできないところですね。
――今後、今回みたいな大人向けのゲームを作る予定はありますか? キネクトを買うときに、ファミリー向けが多くてちょっと……と迷ったんで。
伊藤 もちろんキネクトをここまで触って技術も蓄えたので、作っていこうと考えています。次もしっかり体験ができるアドベンチャー的なものを作りたいですね。キネクトにも今後はそういうの増えてくるのかなーと思うんですけどね。
――今のところ他にないですもんね。
伊藤 いやいやほんとに意外でした。開発中は他が何作っているのかわからないんですけど、開発チームのメンバーとこの手のアドベンチャー系が3つは出るかな、と思ってたんです。実際は「ライズ オブ ナイトメア」だけで。
――キネクト初のアドベンチャーゲームになって。
伊藤 CERO「Z」、Mature指定もキネクト初です。あとセガ社内でいえば、CERO「Z」で作ったこと自体が初で。初めてのコンソールで、初めてのアドベンチャーで、初めてのCERO「Z」で、初めてづくし。
――それは大変ですね……。
伊藤 確かに大変でしたけど、開発者としては面白かったですよ。あと、私は昔アーケードゲームの開発に携わっていたんですが、そちらはモニターを中心にそれこそボタンの置き場所から考えていくものなんです。アーケードゲームを手がけていたセガだから、すんなり入れたのかなというのはあります。
――次回作も期待してます。
伊藤 いろいろ試行錯誤してみて今の方式がある種正解なのかなと思ってますが、これから他のメーカーさんも同じようなアドベンチャーを作るかもしれないじゃないですか。そうしたら、さらにそれを超えるようなものを作っていければと思ってます。
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9月8日に発売されたキネクト専用のホラーアドベンチャー『ライズ オブ ナイトメア』。前編で聞いた、ゲームとプレイヤーの間に信頼関係を築いて臨場感を生み出す方法を一から作り上げていく方法から、今回は作品の基調になっているホラーと、個人的にも楽しみにしていた武器を使ったアクションについて聞いています。
――そうして苦労して作り上げた臨場感を、血のたまった便器や死体の内臓に腕を突っ込んで鍵を探させるとか、ためらうようなことに使うのがすごく意地悪でいいですよね。
――確かにバーンと驚かされるというよりは、じわじわ怖がらされるほうが多いですね。エルンストっていう目が見えないけどすごく強いモンスターが出てくるじゃないですか。居場所がバレると一発で殺されるから、近くにいたらじっとしていないといけない。動きを検知するんじゃなくて、逆に動いてないか見張るためにキネクト使ってるのがすごいなと。
伊藤 コントローラーだったら持ってないときがゼロなんだけど、キネクトだったら自分を消してゼロにはできないですからね。そこも大きな違いだと思います。
――頭をかいただけで検知されて殺されそうになったりして。
伊藤 きっと死ぬんでしょうね。実際そういうときに頭かいたら。
――確かに……。特に気に入っているシーンはありますか?
伊藤 冒頭かな。イヤホンで音楽聞いてると奥さんから話を聞けってすごい勢いで怒られて、ふと横を見るとみんなが「大丈夫かよ」って顔でこっちを見てたりとか。で、部屋から出てみると通路で練習してるバレリーナの足の下をくぐらされたり。むちゃくちゃなところから始まる。
――くぐった後に「やだー」って感じで笑われるのもキツかったです。他にも「俺達レイブ行くんだ」「おっさんはもう歳だから違うよね」って笑うバックパッカーとか通路を譲ったのに舌打ちしていく男性とか、乗り合わせた乗客に嫌な奴が多くて。
伊藤 まあみんなヒドイ目に遭いますから。ホラー映画の定番ですよね。あ、死んじゃうな、この人たちって。
――確かに死亡フラグ立ってました。
伊藤 そういう伏線というか、ホラー映画っぽい遊びもちりばめてます。最初に電車で会った人たちは、全員後で再会するようになってまして。
――バレリーナの姉妹は変わり果てた姿でバレエやってて切なくなりました。参考にしているホラー映画はありますか?
伊藤 プロモーションでよく流してる拷問シーンのあたりは『ホステル』ですよね。他に森をさまようシーンは『ブレアウィッチ・プロジェクト』を参考にしてますし、『死霊のはらわた2』をイメージしているところもあります。他にもいろいろありますよ。場面ごとにちょっとずつ違う体験ができるようになっています。
――なるほど。敵と戦うアクション部分についても聞かせてください。武器もやっぱりジェスチャーからの発想ですか?
伊藤 そうですね。やれることが多すぎても分かりにくくなるので、基本の動作を決めて発展させてます。殴る動作で攻撃するナックル系と、鉄パイプとかナタみたいなものを振り回す打撃系・斬撃系、遠くの敵に投げつけるメスとか試験管とかの投擲系、手を前に出してゴリゴリやるチェーンソウやドリルみたいなものもありますし。あとは大バサミですね。両手を開いたり閉じたりして敵を切り刻む。
――大バサミ楽しいですね。自然に足も動いちゃう。
伊藤 両手を大きく使えるのはキネクトならではですよね。同じ動作でふいごからゲロを飛ばす武器もありますよ。
――ああ、こちらからも飛ばせるんですね。クリーチャーからかけられると画面いっぱい塞がれますけど、質感が妙にリアルで気になってました。
伊藤 画面のこちら側に盛り上がって見えるくらいですよね。エフェクト担当が何回も手直ししてました。あれも手でぬぐう動作をすると早く消えるようにしてます。
――細かい! あえて入れなかった武器はありますか?
伊藤 銃はないですね。旅行先で偶然拾えるようなもんでもないかなと思って。舞台を考えて、拷問部屋に行ったら拾えそうなアイテムにしています。
――手のひらからエネルギー弾を飛ばす武器を公式サイトで見ました。あれは是非使ってみたくて。
伊藤 強いですよ、あれは。やってて気持ちもいいですし。
――最近でも『アイアンマン』が手から何か出してましたし、みんなのあこがれだと思います。
伊藤 細かいところですけど、武器はどちらの手でも拾えます。ぼくは左利きなんですが、左手で拾うとそのまま左で使えるし、ドアも左手で開けられる。固定すると不自由になって突然冷めちゃうんですよね。制限がまったく無いと何をしていいか分からないんでルールは作るんですけど、その枠の中のジェスチャーについてはできる限り拾っています。
――そういえばドアを足で蹴っても開けられるのに驚きました。「乱暴者」という実績も解除される。
伊藤 一度でも足で開けるとクセになりますよね。
――手が武器でふさがってたら足で開けたくなるのが自然だよな、と思ったり。
伊藤 キックのときに画面に出てくる足も、実際に上げたほうの足と一致させてます。キネクトと他のデバイスで大きく違うのは、足が使えるところなんですね。
――確かにwiiやムーブだと手にコントローラーを持ちますね。
伊藤 他のデバイスだと手でスイングして武器を使うから、手だけ使うゲームと思われてるんだけど、移動に足を使うし、キックもできる。ここがやっぱりキネクト専用じゃないとできないところですね。
――今後、今回みたいな大人向けのゲームを作る予定はありますか? キネクトを買うときに、ファミリー向けが多くてちょっと……と迷ったんで。
伊藤 もちろんキネクトをここまで触って技術も蓄えたので、作っていこうと考えています。次もしっかり体験ができるアドベンチャー的なものを作りたいですね。キネクトにも今後はそういうの増えてくるのかなーと思うんですけどね。
――今のところ他にないですもんね。
伊藤 いやいやほんとに意外でした。開発中は他が何作っているのかわからないんですけど、開発チームのメンバーとこの手のアドベンチャー系が3つは出るかな、と思ってたんです。実際は「ライズ オブ ナイトメア」だけで。
――キネクト初のアドベンチャーゲームになって。
伊藤 CERO「Z」、Mature指定もキネクト初です。あとセガ社内でいえば、CERO「Z」で作ったこと自体が初で。初めてのコンソールで、初めてのアドベンチャーで、初めてのCERO「Z」で、初めてづくし。
――それは大変ですね……。
伊藤 確かに大変でしたけど、開発者としては面白かったですよ。あと、私は昔アーケードゲームの開発に携わっていたんですが、そちらはモニターを中心にそれこそボタンの置き場所から考えていくものなんです。アーケードゲームを手がけていたセガだから、すんなり入れたのかなというのはあります。
――次回作も期待してます。
伊藤 いろいろ試行錯誤してみて今の方式がある種正解なのかなと思ってますが、これから他のメーカーさんも同じようなアドベンチャーを作るかもしれないじゃないですか。そうしたら、さらにそれを超えるようなものを作っていければと思ってます。
「ライズ オブ ナイトメア」をエキレビ読者に3本、プレゼントにいただいちゃいました! ホラーやサスペンスやアクション映画で観たアレやコレを体感するチャンスです。応募方法はこちらをご覧ください。(tk_zombie)