日韓戦が行われ、結果は3−0で日本の圧勝だった。ホームで韓国に勝つのは13年ぶり、3点を取ったのは37年ぶりというから、隔世の感があるね。

日韓戦の空気感は、昔と比べて明らかに変わった。たとえば40歳代の韓国人メディアは、「日本にこんな負け方をするなんて」と書きたてるだろうけど、今の韓国代表から、絶対に日本には負けてはいけない、というような危機感、切迫感はあまり感じられない。日本と韓国が文化的、社会的に近くなったからだろうか。時代が変わったのだと、感じざるを得ないね。

3点差がついたが、両国のサッカーレベルに突然大きな開きが生まれたわけではない。急に日本が良くなったわけでもないし、韓国が弱くなったわけでもない。10日の日韓戦は、日本が良かったのか、韓国が悪かったのかといえば、その両方だね。

日本はアジアカップから継続しているチーム構成に、個々のスキルアップが加わり、チームとして充実した状態にあった。一方の韓国は、パク・チソン、イ・ヨンピョらが代表引退し、世代交代の真っ只中にあると同時に、この試合では海外クラブに所属している主力選手がケガなどの理由で外れていた。加えて、八百長問題に揺れる国内リーグのことが頭をよぎったか、メンタリティとしても沈んでいたね。韓国らしさはまったく感じなかった。

そういう意味で、3得点じゃ少ないくらいだ。この状態の相手であれば、あと3点は取れていたんじゃないかな。

快勝したメリット以上に心配なのは、今回の試合が予選のシミュレーションとして役立たなかったことだ。内容も結果もメディアやファンの目も、すごくポジティブなものになっている。しかしそれが逆に、緊迫感のある予選本番で裏目に出てしまうのではないかと、一抹の不安がある。

勝って当たり前という空気が、内にも外にも作られたときに、大きなプレッシャーがかかる。いつもなら入るシュートが外れたときに、こんなはずではないと焦り、次第にチームとして迷いが生じる。コパ・アメリカでもそんな国を見た気がするね。勝ったときこそ、やはり気を引き締めたい。W杯予選は、それだけ難しいのだ。