米国債の格下げで、中国保有の米国債60―70億ドルの損失か
3大国際格付け機関の一つであるスタンダード&プアーズ(S&P)が先般米国債格付けをAAAからAA+に引き下げたことを受け、もっとも安全な投資商品とみなされていた米国債の信頼性が揺らいだ。国際資本は相次いで新たなリスク回避の方法を探っている。人民元価値上昇の観測や経済の将来性が認められていることから、中国が国際資本の「避難港」になる可能性が高まりつつある。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。
「S&Pによる米国債格付けの引き下げで、より多くの投機資金が中国に殺到するだろう」と安邦諮詢の陳功首席研究員は話す。
交通銀行の連平首席エコノミストは、2010年6月の為替改革強化政策の実施以来、人民元は再び上昇傾向を辿っており、人民元レート上昇観測は資本流入をもたらす重要な要因であると指摘する。
平安証券の何慶明研究員も、米国債格付けが引き下げられたことを受け、3回目の量的金融緩和政策が打ち出される可能性が大きくなり、これはドル安の加速化につながると同時に、中国が保有している巨額なドル資産が目減りするリスクに直面することにもなるという。
陳功氏は「現在、中国は1兆1600億ドルの米国債を保有している。今回の米国債格付け引き下げにより、ドルレートが60ベーシスポイント低下すると予想されているため、中国保有米国債の損失額は60―70億ドルになる」と分析している。(編集担当:米原裕子)