Jリーグが再開してから3節を消化し、ベガルタ仙台が3連勝している。J1での3連勝は9年ぶりだという。「がんばろう東北」を合言葉に、気持ちのこもったプレーを見せているね。本当にすばらしい戦いぶりだよ。彼らのプレーに、勇気や元気をもらっている被災者の方々もいることだろう。次はアウェイでのC大阪戦。快進撃を続けてもらいたいね。

さて、前回のコラムでは「企業スポーツからの脱却」をテーマに、Jクラブは今が考え時だと書いた。今週もJリーグの近い将来について考えてみたい。

これまでも述べてきたように、今年は日本のスポーツにとって大きなターニングポイントになると思っている。大震災と原発の問題は産業界に間接的にダメージを与え、ひいては企業スポーツを基本とする日本のスポーツに直接影響を及ぼす。

とは言うものの、ただやみくもに企業スポーツから脱却してクラブスポーツ型に突っ走っては、独り立ちできないクラブが潰れる可能性もある、というのも先週述べたとおり。ではどうするべきか、というところで、一つ提案したいのが、民間シンクタンクの設置だ。

JFAもJリーグも、現状の形をいずれ変えなければいけないということはわかっている。そもそもJリーグの出発点はヨーロッパ型のクラブスポーツであり、バブル崩壊後、チーム維持のために企業の力を借りなければいけなかったことで、現在においても実態は企業スポーツという状況が続いているが、基本理念としてのクラブスポーツは存在する。

サッカーがクラブスポーツ型へ舵を切る、つまり独立採算の真のプロスポーツへ移行していくとすれば、それは日本スポーツ界の一大改革となるね。これは本当に大変な作業だよ。いろいろなしがらみのある内部だけでは、プログラムを作成することは困難だろう。たとえばJリーグクラブの社長は、ほとんどが親会社からの出向だったりする。そうした社長が寄り集まったところで、答えは出てこない。川淵JFA名誉会長がJリーグを立ち上げられたのも、古河電工を退社し、自立した立場を得たからだ。

そこで、民間の有識者を集めて、方法論を研究するのだ。第三者の忌憚のない意見というのは、構造の改革を成し遂げる上で非常に重要だと思う。繰り返すが、今回の震災はスポーツのあり方、存在理由を考える一つの契機になりうることを忘れてはらない。みんなで知恵を出し合って、よりよいスポーツ文化を作るのだ。それも一つの「復興」だと思っている。(了)