市場環境が変わった。消費者のニーズが変化した。そして、既存の製品が行き詰まった。手をこまねいているわけにはいかない。リニューアルだ。しかしどうやって?・・・そんな時には、「製品の価値を見直して、コンセプトを明確にすること」である。


 1月17日〜19日付の日経新聞夕刊1面に、「捨てたもんじゃない リユースのすすめ」という興味深い特集が掲載された。「リユース」とは、エコロジーのキーワードである、3R=Reduce(ゴミをなるべく出さない)・Reuse(モノをすぐに捨てずに何度も使う)・Recycle(ゴミを再生して利用する)の2番目のRだ。
 リユースの1つめの事例は姫路市のベンチャー会社「コウメイ」。使い古された50CCスクーターのエンジンや燃料タンクをモーターと蓄電池に置き換えていく。改造費は25万円から。記事では「ガソリン仕様の新車より高いが、長期的に見れば経費節減につながる点をアピールし、多くの台数を保有する金融機関などに売り込む」と同社社長のコメント。他に納入実績は「音が静かなため、早朝の配達でも迷惑にならない」と新聞販売店が導入を決めたとある。

 スクーターの価値とはなんだろうか。コトラーの製品特性分析のフレームワークで分解して考えてみよう。
手に入れて用いることによって実現される「中核価値」は、「簡便な移動」だ。それを実現するために欠かせない「実体価値」は「(クルマと比べて)安価な本体価格・維持コスト・燃費の安さ」という「経済性」が第一。加えて「取り回しの良さ」などの操作性だろう。中核の実現に直接貢献しないが、モノの魅力を高める「付随機能」は、デザインの良さなどだ。
 中古スクーターは、電動化の過程で価値構造が組み替えられていることがわかる。

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