【CL:ベンフィカ×シャルケ】 サビオラとアイマール
■ 第6節
UEFAチャンピオンズリーグの第6節。すでに2位以内を確定させているシャルケがポルトガルのベンフィカと対戦。シャルケは3勝1敗1分けで勝ち点「10」。ベンフィカは2勝3敗で勝ち点「6」。フランスのリヨンが3勝2敗で勝ち点「9」で2位につけている。もし、ベンフィカが勝って、リヨンが敗れると勝ち点「9」で両チームが並ぶが、当該チーム同士の成績でリヨンが上回るため、リヨンも2位以上が確定している。
アウェーのシャルケは<4-4-2>。GKノイアー。DF内田、ヘヴェデス、メツェルダー、シュミッツ。MFパパドプロス、クルゲ、ラキティッチ、フラド。FWラウル、フンテラール。18歳のギリシャ人のMFパパドプロスがスタメン出場。
■ シャルケが1位通過
試合は決勝トーナメント進出の可能性がなくなって、モチベーションが上がっていなかったのか、ホームのベンフィカが低調。序盤はシャルケがペースを握る。先制点が生まれたのは前半19分。左サイドを崩して最後はクロスボールをうまく胸でコントロールして味方にお膳立てしたFWラウルのパスからMFフラドが左足で決めてシャルケが先制する。
後半開始からベンフィカは元アルゼンチン代表のMFアイマールを投入。何度かチャンスを作るが、後半36分にシャルケがセットプレーの流れからオフサイドトラップの裏をついたDFヘヴェデスが決めて2対0とリードを広げる。ベンフィカは後半終了間際にDFルイゾンのヘディングシュートで1点を返すが、反撃はここまで。結局、2対1でシャルケが勝利。4勝1敗1分けという見事な成績でグループリーグ首位通過を決定させた。一方のベンフィカもハポエル・テルアビブがリヨンと引き分けに終わったため、グループ3位が決定。ヨーロッパリーグ進出を決めた。
■ グループ首位通過
リヨンを3対0で下したかと思えば、カイザースラウテルンに0対5で敗戦。しかし、バイエルン・ミュンヘンに2対0で勝利するなど、強いのか、弱いのか、よくわからない不安定な戦いが続いているシャルケであるが、モチベーションが低めのベンフィカを下してグループ首位を決めた。
グループリーグを首位で通過すると、決勝トーナメントの1回戦はどこかのグループの2位チームと対戦することになるが、グループAは1位がトッテナムで、2位がインテル。グループCは1位がマンチェスターUで、2位がバレンシア。グループDは1位がバルセロナで、2位がコペンハーゲンということで、グループAのみ本命のインテルが2位となっているが、どのグループも順当に本命チームがグループリーグを首位で通過しており、シャルケにとって、これらのビッグクラブと決勝トーナメントで対戦しなくても済むという非常に大きい。
■ 内田はフル出場
右サイドバックで出場したDF内田は先発フル出場。前半の早い時間にシャルケが先制したこともあって、攻撃参加は控え目で、オーバーラップしていく回数はそれほど多くなく、見せ場は多くなかったが、無難なプレーで勝利に貢献した。
完全にシャルケで右サイドバックのポジションを確保したDF内田であるが、これはちょっと予想外であり、もう少しドイツとJリーグの差に苦しむかと思われたが、うまくフィットしている。試合に出始めた頃は、裏のスペースを突かれる場面も多かったが、最近では大きく崩されるシーンもなく、比較的、安心して見ることができる。
攻撃では「サイドからクロス」というシーン自体は多くはないが、ビルドアップの時の貢献度は非常に高く、前線のFWフンテラールやFWラウルへいいパスが送られている。DF内田は、サイドバックとしてはテクニックもあって、落ち着いているので、シャルケの攻撃が右のDF内田のパスから始まるケースも多い。
■ サビオラとアイマール?
この試合のシャルケの対戦相手のベンフィカには、アルゼンチン代表として活躍したFWハビエル・サビオラと、MFパブロ・アイマールという二人のスター選手が所属していて、FWサビオラは先発出場、MFアイマールは途中出場でピッチに立った。ポルトガルのチームというと、あまり日本では放送されないので、非常に懐かしい感じであった。
FWサビオラは1981年生まれの28歳。2001年にリバープレートからバルセロナに移籍し、オランダ代表のFWクライファート、ブラジル代表のMFリバウドと組んで、「トリデンテ」と呼ばれて活躍したことが印象深い選手であり、2002年の日韓大会はメンバーに入れなかったが、2006年のドイツ大会でプレーしている。
一方のMFアイマールは1979年生まれの31歳。2001年にバレンシアに移籍すると攻撃の核として活躍。2006年に移籍したサラゴサでも好プレーを披露したファンタジスタ・タイプの選手で、2002年、2006年と2度のワールドカップに出場している。
■ サビオラとアイマール?
この二人は日本でもおなじみの選手であり、人気の高かった選手である。ワールドユースでも活躍し、アルゼンチンのリバープレート時代から非常に注目度が高く、欧州に渡ってからもスター選手として輝きを放った。
アルゼンチン代表でも活躍を見せたが、ただ、本当の意味で期待された通りのサッカー人生を送っているかというと、否である。一番、脂の乗り切った時期で迎えるはずだった2010年のワールドカップは共にメンバーから外れていて、この試合は、ベンフィカの中でも絶対的な存在という訳ではなかった。
もちろん、彼らはバルセロナやバレンシアという欧州の一流クラブで中心となって活躍した実績があるので「不成功」とは言えないが、20歳前後のときに周囲に抱かせた期待感を満たしているとは言えず、2000年代中盤になって同じアルゼンチンからFWリオネル・メッシという選手が出現してきたことで、存在感も薄れてしまった。
若くしてバルセロナに渡ったメッシは、順調に世界?1の選手に育っていったが、メッシは例外中の例外である。FWサビオラやMFアイマールのような、思い通りにいかなかった選手がほとんどである。期待された若手選手が順調にキャリアを築いていくことができないという現象は、何も日本だけに限ったことではない。
関連エントリー
2008/02/03 欧州至上主義を憂う。
2010/05/27 Jリーグ元年を彩った外国人プレーヤー達の思い出
2010/06/13 【W杯:アルゼンチン×ナイジェリア】 マラドーナ監督 勝利スタート
2010/06/18 【W杯:アルゼンチン×韓国】 イグアインがハットトリック
2010/07/11 【W杯:アルゼンチン×ドイツ】 エジルという選手
2010/10/07 フットボール史上最高のプレーヤーは誰か?を考える。
2010/10/08 【日本×アルゼンチン】 ザック・ジャパン 歴史的な勝利
UEFAチャンピオンズリーグの第6節。すでに2位以内を確定させているシャルケがポルトガルのベンフィカと対戦。シャルケは3勝1敗1分けで勝ち点「10」。ベンフィカは2勝3敗で勝ち点「6」。フランスのリヨンが3勝2敗で勝ち点「9」で2位につけている。もし、ベンフィカが勝って、リヨンが敗れると勝ち点「9」で両チームが並ぶが、当該チーム同士の成績でリヨンが上回るため、リヨンも2位以上が確定している。
■ シャルケが1位通過
試合は決勝トーナメント進出の可能性がなくなって、モチベーションが上がっていなかったのか、ホームのベンフィカが低調。序盤はシャルケがペースを握る。先制点が生まれたのは前半19分。左サイドを崩して最後はクロスボールをうまく胸でコントロールして味方にお膳立てしたFWラウルのパスからMFフラドが左足で決めてシャルケが先制する。
後半開始からベンフィカは元アルゼンチン代表のMFアイマールを投入。何度かチャンスを作るが、後半36分にシャルケがセットプレーの流れからオフサイドトラップの裏をついたDFヘヴェデスが決めて2対0とリードを広げる。ベンフィカは後半終了間際にDFルイゾンのヘディングシュートで1点を返すが、反撃はここまで。結局、2対1でシャルケが勝利。4勝1敗1分けという見事な成績でグループリーグ首位通過を決定させた。一方のベンフィカもハポエル・テルアビブがリヨンと引き分けに終わったため、グループ3位が決定。ヨーロッパリーグ進出を決めた。
■ グループ首位通過
リヨンを3対0で下したかと思えば、カイザースラウテルンに0対5で敗戦。しかし、バイエルン・ミュンヘンに2対0で勝利するなど、強いのか、弱いのか、よくわからない不安定な戦いが続いているシャルケであるが、モチベーションが低めのベンフィカを下してグループ首位を決めた。
グループリーグを首位で通過すると、決勝トーナメントの1回戦はどこかのグループの2位チームと対戦することになるが、グループAは1位がトッテナムで、2位がインテル。グループCは1位がマンチェスターUで、2位がバレンシア。グループDは1位がバルセロナで、2位がコペンハーゲンということで、グループAのみ本命のインテルが2位となっているが、どのグループも順当に本命チームがグループリーグを首位で通過しており、シャルケにとって、これらのビッグクラブと決勝トーナメントで対戦しなくても済むという非常に大きい。
■ 内田はフル出場
右サイドバックで出場したDF内田は先発フル出場。前半の早い時間にシャルケが先制したこともあって、攻撃参加は控え目で、オーバーラップしていく回数はそれほど多くなく、見せ場は多くなかったが、無難なプレーで勝利に貢献した。
完全にシャルケで右サイドバックのポジションを確保したDF内田であるが、これはちょっと予想外であり、もう少しドイツとJリーグの差に苦しむかと思われたが、うまくフィットしている。試合に出始めた頃は、裏のスペースを突かれる場面も多かったが、最近では大きく崩されるシーンもなく、比較的、安心して見ることができる。
攻撃では「サイドからクロス」というシーン自体は多くはないが、ビルドアップの時の貢献度は非常に高く、前線のFWフンテラールやFWラウルへいいパスが送られている。DF内田は、サイドバックとしてはテクニックもあって、落ち着いているので、シャルケの攻撃が右のDF内田のパスから始まるケースも多い。
■ サビオラとアイマール?
この試合のシャルケの対戦相手のベンフィカには、アルゼンチン代表として活躍したFWハビエル・サビオラと、MFパブロ・アイマールという二人のスター選手が所属していて、FWサビオラは先発出場、MFアイマールは途中出場でピッチに立った。ポルトガルのチームというと、あまり日本では放送されないので、非常に懐かしい感じであった。
FWサビオラは1981年生まれの28歳。2001年にリバープレートからバルセロナに移籍し、オランダ代表のFWクライファート、ブラジル代表のMFリバウドと組んで、「トリデンテ」と呼ばれて活躍したことが印象深い選手であり、2002年の日韓大会はメンバーに入れなかったが、2006年のドイツ大会でプレーしている。
一方のMFアイマールは1979年生まれの31歳。2001年にバレンシアに移籍すると攻撃の核として活躍。2006年に移籍したサラゴサでも好プレーを披露したファンタジスタ・タイプの選手で、2002年、2006年と2度のワールドカップに出場している。
■ サビオラとアイマール?
この二人は日本でもおなじみの選手であり、人気の高かった選手である。ワールドユースでも活躍し、アルゼンチンのリバープレート時代から非常に注目度が高く、欧州に渡ってからもスター選手として輝きを放った。
アルゼンチン代表でも活躍を見せたが、ただ、本当の意味で期待された通りのサッカー人生を送っているかというと、否である。一番、脂の乗り切った時期で迎えるはずだった2010年のワールドカップは共にメンバーから外れていて、この試合は、ベンフィカの中でも絶対的な存在という訳ではなかった。
もちろん、彼らはバルセロナやバレンシアという欧州の一流クラブで中心となって活躍した実績があるので「不成功」とは言えないが、20歳前後のときに周囲に抱かせた期待感を満たしているとは言えず、2000年代中盤になって同じアルゼンチンからFWリオネル・メッシという選手が出現してきたことで、存在感も薄れてしまった。
若くしてバルセロナに渡ったメッシは、順調に世界?1の選手に育っていったが、メッシは例外中の例外である。FWサビオラやMFアイマールのような、思い通りにいかなかった選手がほとんどである。期待された若手選手が順調にキャリアを築いていくことができないという現象は、何も日本だけに限ったことではない。
関連エントリー
2008/02/03 欧州至上主義を憂う。
2010/05/27 Jリーグ元年を彩った外国人プレーヤー達の思い出
2010/06/13 【W杯:アルゼンチン×ナイジェリア】 マラドーナ監督 勝利スタート
2010/06/18 【W杯:アルゼンチン×韓国】 イグアインがハットトリック
2010/07/11 【W杯:アルゼンチン×ドイツ】 エジルという選手
2010/10/07 フットボール史上最高のプレーヤーは誰か?を考える。
2010/10/08 【日本×アルゼンチン】 ザック・ジャパン 歴史的な勝利
Jリーグから日本代表まで。独自の視点で日本サッカーを語る